ニューヨークではまだまだ、コロナウイルス感染に関し、予断を許さない状況が続いています。

が、元夫Gはおかげさまで、今のところ無事です。お願いキラキラ

 

が、じつは連日死者数が増え続けていた4月半ば頃、こんなことがありました。。。

ついにGの住んでいるアパートでも、感染者が出たんです。Gの真上の部屋に住んでいる年配の女性でした。この女性は去年引っ越してきた住人で、Gが大家さんの手伝い(共用部分の掃除や、ゴミの片づけなど)をしていることもあって、入居してきた時から、Gをよく頼ってきていました。

 

その女性から、家具を捨てたいので、運ぶのを手伝ってくれと頼まれたG。それを聞いて、「こんな時期に人にそんなことを頼むなんて・・・非常識な。」 とちょっと私は腹が立っていました。指定された日の朝、Gが部屋を訪ねると 「やっぱり今はいい。コロナに感染してしまったから。」 と言われたそうです。で、結局運ぶのはやめて、家具は彼女の部屋のドアの外に、置きっぱなしになってしまいました。ま、そんな成り行きで、Gはその人の感染を知ったんですね。

 

それから数日後。その頃にはもう、毎晩のように、誰かが延々咳をするのが聴こえていたそうです。Gはご存知のように、喘息で、しかも肺に重い疾患を抱えているうえ、共用部分の掃除なども大家さんから任されていたので、私も気が気ではありませんでした。毎日テレビ電話で話して、少しでもおかしいことはないか、体調をチェックしていました。

 

そんなある日、Gと私が話している最中、Gの部屋のドアをノックする音が聞こえました。

Gが 「誰~~~?」 と叫ぶと、外から誰かが何か言ったようでしたが、私にはよく聞こえませんでした。そしたらGが、

「あぁぁぁ、もう・・・・・・・・・上の階の女性だ。。。(x_x;)」 

と言ってマスクをつけ始めたんです。

 

私は耳を疑いました。コロナに感染してるのに、それを知りながら他人の家に訪問?!ガーン

 

とっさに、「ドア開けちゃだめだよ!」 と叫びましたが、Gはスマホを置いたまま、ドアのほうに行ってしまいました。

 

すると、ドアが開く音がして、二人のやりとりがスマホからはっきり聞こえてきました。

女性は大声で、「いつまでも家具をあそこに置いておくわけにはいかないから!」 と叫んでいます。Gはそれに対し、「わかったよ、移動させておくから。」 と答えますが、女性はちょっと興奮気味で、しゃべるのをやめません。

「私は独り身なの。誰も運んでくれる人がいないの。だからお願いだから運んでちょうだい。」 と、延々大声で叫び続けています。私には二人の姿は見えませんでしたが、状況を想像するのも恐ろしいほど、大きな声でした。

Gは、「わかったから。ほら、今はこうやって外にでちゃいけないでしょ?安心して、やっておくから。。。」 と、優しく女性をなだめ続けました。

そして5分とか10分とかの長い間そんなやりとりが続いたあと、やっと女性の声が遠のいていき、ドアを閉める音がしました。

 

私はスマホのこっち側でなにもできず、気が狂いそうになっていました。

しかも、戻ってきたGに、「彼女、マスクしてた?」 と聞くと、「してなかった」 と。叫び叫び叫び叫び叫び

私は、「早く!!部屋の窓を全部開けて、手と顔を洗って!うがいも!!!」 と叫びました。Gは私があまりにも興奮していたので、その様子にびびって、窓を開け、洗面所に走りました。

 

そしてGが再びスマホの前に戻ってきた時、「いったいなんでドアを開けたの?!」 と怒ったんです。

 

 「アンタ、コロナにかかったら死ぬかもしれないんだよ?わかってるでしょ? なのになんで、ドア開けて、しかもコロナにかかってる人がマスクもしてないのに、そんな近くで話し続けたの?! アホか!!えーんえーんそれがアンタの弱さだよ!人に No(ノー)が言えないんだよ、アンタは!!!えーんえーんえーん

 

心配と、女性の無神経さへの怒りで、頭がおかしくなりそうでした。

そしたら私の言葉にGは、

 

「たったこのぐらいのことで、何なんだ、いったい?!俺は、感染してるからって彼女を避けたら、かわいそうだと思ったんだよ!ドアを開けなかったら、彼女が『避けられてる』と思って、傷つくんじゃないかと思ったんだよ!!!」

 

と怒り、

「お前がそんなふうだから、怖くなってきたじゃないか!もう済んだことなんだよ!忘れろ!もうこの件に関しては話したくない!」

と、電話を切りました。

 

 

 

時間が経ち、心配で怖くてバクバクした気持ちが静まってくるにつれ、「彼女が傷つくんじゃないかと思った」 というGの言葉が、心でこだましました。

 

そうか、Gはそういう気持ちだったのか・・・・・・。弱さなんて言って、悪かったな。。。

とはいえ・・・・・、感染したらどうするの? 死んじゃうんだよ?

じゃああの時Gは、どうすればよかったんだろう?どうするのが正しかったんだろう?

・・・・・・・頭の中で、問答がつづきました。

 

だけどだんだん、「彼女が傷つくんじゃないかと思った」 というGの思いやりの気持ちが、とてつもなく尊いものに思えてきたんです。

もし神様だったら、この場面で自分自身を守るだろうか?それとも、自分は犠牲になっても、誰かの心を守るだろうか?・・・・・・・・答えは、後者だと思ったんです。

 

私はGにもう一度電話をして、「弱さとかいって、ごめんね。私が間違ってた。」 と謝りました。

そして、「でも今度もし同じことがあったら、相手の人が傷つかないように説明して、ドア越しに話してね。」と伝えました。

 

 

でも、その一件があってから、Gは大丈夫なんじゃないか、という、なんか不思議な確信みたいなものを覚え始めてます。Gの中に神様がいるような・・・そんな気がして。

 

 

ところで今日は、ストローがうちの子になった記念日です。ラブラブ

大好きだったマグロのフードとお水をあげました。(=^-^=)

 

 

NY時代の写真です。ろーちゃん、おとうちゃんを守ってあげてね!