1995年4月1日・・・16年前の昨日、アメリカに行きました。
初めての外国。飛行機が地面についた瞬間、体が震えたのを覚えています。

入国審査を終えると、私の名前が書かれたカードを持って、ひとりのおじさんが立っていました。私は語学学校を通じてホームステイをすることになっていて、そのホストファミリーの誰かが迎えに来る予定だったので、その人かな?と思ったら、ホストマザーが手配した車の運転手さんでした。当時の英語力ではそこまで理解することなく、そのおじさんについて行きましたが・・・今考えると危ないですね(汗)。

車窓からみたブルックリンの町並みは、日本とはまるで別世界でした。その時のまだ冷たい空気と一緒になって、今でも鮮明に記憶に残っています。そしてこれから始まる未知の生活への不安と期待が交錯しながらも、「もう来てしまった」という諦めと覚悟が入り混じったような気持ちで、窓の外をずっと見ていました。

ホストファミリーの家は、ブルックリンの住宅街にある、3階建ての大きな家でした。
ドアベルを鳴らすと、子供が「Who is iiiit??(誰ですか~?)」と叫ぶ声がして、戸惑っているとガラスのドア窓越しに子供たちが数人、ドアを開けに来てくれるのが見えました。そしてドアが開き、後ろから「Hi...」と、少し不機嫌な様子の50代くらいのドレッドヘアの黒人の女の人が。。。「あ、この人がホストマザーだ」と直感しました。


私の部屋は3階でした。3階には使える部屋が2部屋あって、それぞれにベッドが二つ。「今ほかに人がいないから、どっちでもいいよ」と言われ、窓の景色がきれいな方の部屋にしました。とりあえず荷物のなかからお土産を取り出し、皆が住んでいる2階へ。ホストマザーには7人の子供(全員女の子)がいたのを知っていたので、ハンカチや扇子、折り紙といったお決まりの日本っぽいものをたくさん買っていったけれど、その日は他にも姪っ子や甥っ子などもいて、もう誰に何が渡ったのか分からないほどの大騒ぎでした(笑)。

そして、お土産を持って子供たちがわーっと自分たちの部屋に引き上げていったあと、ホストマザーと二人きりになり、彼女が話し始めました。ちょうど阪神大震災の後だったので、「来られないかと思って心配したのよ」と、さっきまでの不機嫌そうな感じは消え、今度は「You follow me?(私の言ってることわかる?)」とたたみかけるようにしゃべりかけてくるホストマザー。私は汗だくになりながら必死でついていきました。初めてのアメリカ、初めてのアメリカ人との英会話。私はとにかく身振り手振りもまぜ、必死でカタコトの英語でしゃべりました。
すると突然、大画面のテレビから聴きなれたジャンルの音楽が・・・・。

「Do you know Bobby Jones? I love this show.(ボビージョーンズショー、知ってる?私これ大好きなのよ)」

土曜日の朝やっていたゴスペル音楽番組でした。私はそれを見たのは初めて。「うわ~~すごい!テレビでゴスペルのショーがみられるんだ!」と興奮してしまいました。そしてホストマザーはシンガー&ピアニスト。「足が悪くなってからは仕事はしていない」と言っていましたが、「私は前は教会に行っていたけど、今はここが私の教会なの。こうやってここで一緒に歌えるしね。」・・・その話しぶりや風貌はミュージシャンそのものだ、と当時の私は感じました。そして、自分が求めていた音楽がこんな近くにある・・・・これから始まるアメリカ生活に、期待で胸がいっぱいになりました。


そして、自分の部屋に戻り・・・「さて、トイレにいこうか」と廊下を歩いていると、なにか強烈な異臭が。。。。バスルームの脇の、掃除されていない猫のトイレからのにおいのようでした。

「うーん・・・(-_-;)」と思いながらもバスルーム(トイレ)へ。
ドアを開け一歩足を踏み入れた、その時でした。

ザーーーーーーーーーーーッ!

何か黒い小さい無数の物体が、壁のほうへいっせいに走りました。
ビックリしてよく見ると・・・・・無数の極小のゴキブリ!!!!!

ひえ~~~~~~~~~~~!!!Y(>_<、)Y


でも、どうしようもありません。ここに暮らすんですから。私がバスルームにいる間は、ゴキちゃんたちは見えないところに隠れているようだったので、意を決して急いでトイレをすまし、部屋に戻りました。

そして部屋をよく見ると、まったく掃除されていない床。
冷蔵庫をあけると、中にも数匹のゴキブリ。。。。。。

瞬く間に、私のアメリカ生活への期待は、ガタガタと音を立てて崩れ始めました。
それが私の初めて見たアメリカの家だったので、私はすっかり「アメリカの家とはこういうものなのだ」と思い込んでしまいました。今みたいに情報もありませんでしたし、初めて出会ったものが、私にとってのアメリカそのものだったのです。


どうしよう・・・・なんで来てしもたんやろう・・・・・(ToT)
言葉もなかなか通じない。何もかもが初めてで、緊張の連続で、常識すらも根底から覆され、何がなんだかわからなくなり、急に涙がでてきました。
もう全てが始まってしまった以上、帰ろうにも帰れない・・・・
私がただ一度だけ、アメリカに行ってしまったことを、心の底から後悔した瞬間でした。


つづくねこへび


P.S.
書き始めたものの、ものすごい長い話で、オチまでたどり着くのに(オチあるんかい?笑)、いくつ記事をかかねばならないのか、わからなくなってきました(汗)。
気が向いたときにボチボチ続きを書いていくので、ものっっすごい暇な時にでも、読み流してください。(_ _*)


$それゆけ☆さいたみゃん-Times Square