いい朝だった。


その日、出勤のためバスに乗ろうとして携帯を忘れたことに気づく。


いつもだったら

「今日1日くらい、携帯なしで何とかなるわ!」とそのままにしておくのだが、その日は不吉な予感がしてバスを遅らせて家まで取りに帰った。


そしてこの予感は当たる。



仕事で同僚とユーザ先に訪問した私。

商談中、急激な腹痛に見舞われる。


「ん?」と気がつかないフリをして商談を進めていたが、次第に脂汗が出てきた。



おかしい。

でもこの痛みには記憶があるぞ。


「石だ!」



9年前の11月、私は尿管結石で通勤途中急激な腹痛に襲われ、救急車で運ばれた。

あの時も寒い日だったのに、ダラダラと脂汗が出て・・・。


また出たのか。



ユーザ先で倒れるわけにいかない。


筆談で「体調が悪いので先に出る」と同僚に伝え、腰を曲げてフラフラと外に出て、通りすがりの内科に倒れこむように入った。


病院の先生、看護師さん、待合室の患者さん達、突然入ってきて倒れこんだ急病人にビックリ。

とんだ迷惑である。


病院の皆様、本当に申し訳ありませんでした。

m(_ _)m



病院の方々は手際よく処置をしてくださったが、すぐに痛みは引かない。



私がゼイゼイ苦しんでいる間、隣で点滴を受けている(とおぼしき人)老齢の女性2人が、おっとりと話をしている。


「今日のお昼、どうする?」

「●●はどう?あそこだったら、お肉もお魚も食べれるじゃない?」

「そうねぇ・・・。じゃあ、☆☆ちゃんも誘ってあげんさいよ。私がおごってあげるけぇ・・・」

「・・・もしもし、☆☆ちゃん?今日お昼行かん?◆◆さんがおごってくれるんと・・・」



何てシアワセな会話をしてるんだっっ!


理解してもらえないかもしれないが、私は体調が悪い時、食べ物の話をされるとさらに気持ちが悪くなるという体質なんだっっ!


元気だったら、「静かにしてっ!」とか言いたいところだが、そんな力が今の私にはない。



悶絶の苦しみの中で、息も絶え絶え会社に電話をかけた。

携帯電話、やっぱりあって良かった・・・。


しばらくすると驚いた同僚が病院に駆けつけてくれた。

朝、元気で冗談を言ったりしていた私が、目の前でゼイゼイと苦しんでいる。


同僚もアッケに取られていた。


でも、もう十分な会話をする力がない。

ひと通り事情を話すのが精一杯だった。



その病院で応急処置をしてもらい、紹介状をもらってタクシーで指定病院へ。



レントゲンにはしっかりと「石」が写っていた。



その直後、また激痛に襲われ私は「即入院」となる。


その日、私の入院生活が始まった・・・。