二十歳の頃。
 

友人の義弟が割烹料理屋をやっている。
 

夜にたまたま遊びに行くと、
 
「これからすっぽんを〆る(しめる)よ」と言う。
 
俺は物好きなので、ぜひそれを拝見したいと思った。
 

義弟くんは「初めて?」と聞く。
 
無論、初めて。
 
どうするのかと思って、興味津々見ていた。
 

義弟くんは、大きなまな板の上にすっぽんを置いた。
 
しばらく手をつけずにいると
 
すっぽんが頭、手足をニョキ~っと出してくる。
 

その、ニョキ~と出した頭を、すばやく捕まえ、おもむろに「トン」と包丁で叩き落とした。
 
ジワ~ッと血が出る。
 

「ねえ、血飲んだことある?」と聞く義弟くん。
 
「ない!ない!」と俺。
 
「飲んでみる?」と義弟くん。
 
「飲む!飲む!」と俺。
 
「じゃあ。」と言って、義弟くんは、おちょこを取り出すと。
 
おちょこの上で、ペコペコペコとすっぽんの甲羅を押し、血を絞った。
 
「すんげ~な!」と言って見ている俺。
 
「ほら!」と俺に今、絞った血入りのおちょこを差し出す。
 
「飲むの?」と俺。
 
「効くよ~。」と義弟くん。
 
「んじゃ!」と俺は、一気飲みした。
 
血の味がした。
 

そうしているうちに、友人がやってきた。
 
「何してるの?」
 
「俺さんが、血を飲みたいって言うから」
 
「え、飲んだの?」と友人。
 
「うん」と俺。
 
「義兄さんも飲みます?」と義弟くん。
 
「俺は嫌だな」と友人。
 
「じゃあ、酒で割りましょう。」と義弟くん。
 

一升瓶を出してきて、コポっとさけを注ぐ。
 
匂いをかぐ友人。
 
「あっ、これなら飲めそう」と友人。
 
ちびり、ちびり飲み始めた。
 

「酒で割るの?」と俺。
 
「そうですよ、生で一気飲みする人初めて見ました」と義弟くん。
 

俺はなんだ?
 
生血を飲んで・・・。
 

さてそれから、が大変。
 
ぜんぜん眠くならない。
 
4日ぐらい眠らなくても平気。
 
元気モリモリ。
 
エネルギー満タン。
 

ところが、5日目の朝。
 
ガクーっときた。
 
起きられない。
 
すっぽんが切れた。
 
力が出ない。
 

それ以来、俺は「すっぽんエキス」には、とんもない精力効果があると信じている。