最近、幼児や乳児を親が暴行して殺害してしまうってニュースを頻繁に目にする。
殆どの動機が『泣きやまなかった』『躾の為』
赤ちゃんは喋れないんだから、何かのサインを発するには泣くしかないの。
泣きやまないってのは、求めてる事があるからなのに。
新生児を産み捨てする親も居るけど、どんな事情があるにせよ、産んだのは『人間』なんだから…。
中学の時、演劇部に所属してて文化祭やコンクールで『グッドバイ・マイ・・・』って演目をやった。
中1だった私も役を貰えて、だからってのもあるけどその内容が凄く心に残ってる。
舞台は生まれる前の世界。
運命を告げる老人と、白の使者、黒の使者が居る空間。
ぽつんと一人の少女が佇む其処に、生まれる前の少年と少女達が現れる。
老人は、それぞれに運命を告げる。
一人の少年は学業優秀で勉強に励むが、それに嫌気がさし飛び降りる為に屋上に向かう。
一人の少女は家庭環境が劣悪で非行に走り、バイクで事故を起こす。
一人の少年は生まれつき両腕が無い。
決して良い未来ではない事を告げられ、生まれるか消えるか選択を迫られ迷う三人。
そんな中、最初に居た少女が自分の運命を三人に話した。
生まれて間もなく、コインロッカーに捨てられる運命だと。
生まれても幸せでない、苦しむだけなら消えてしまうべきだと黒の使者達が誘う。
必ずしも不幸な事ばかりではない。幸せな事もあると白の使者が生まれる事を勧める。
そして、最初に居た少女が決断の時刻に達し、生まれる事を選んで命の門に向った。
捨てられても、誰かが気付いてくれるかもしれない。必ずしもそこで死んでしまうとは限らない。
生きる為に頑張る。そう告げて門をくぐった。
暫しの沈黙の後、赤ん坊の泣き声が響き渡る。
ロッカーに捨てられた少女が、生きる為に誰かに気付いて欲しいと必死で泣いて救いを求めた。
次第にその声は弱弱しくなり、結果、少女は死んでしまった。
頑張っても死んでしまうなら、苦しい思いはしたくないと消える事を選ぼうとする三人。
けれど、先に居た少女は自分の運命を切り開こうと必死に頑張った。
狭く熱気の籠ったロッカーの中で必死に泣いて、生きようとした。
そして決断の時。
屋上に行っても、思い直して戻るかもしれない。
事故に遭っても、死ぬとは限らないし更生出来るかもしれない。
両腕がなくても…
自分達の運命は、自分たちで切り開いてみせる。先に行った少女がそうしたように。
そして強い決意を持って命の門に向うが、少年と少女が門をくぐった後、両腕の無い運命の少年がふと足を止め振り返り老人に尋ねた。
『お母さんは、僕が両手がないことを悲しんでいるの?』
その問いに、老人はゆっくり顔を左右に振った。
『いや、一度も悲しんではいない』
その答えを聞いた少年は笑顔を浮かべ、自分の手を持ち上げて暫し見詰める。
『グッドバイ、マイ・・・』
愛おしげに手を見詰めてそう呟くと、少年達の後を追って命の門をくぐり抜けた。
そんな物語。
多感な中学生にとって凄く重たい題材だったかもしれないけど、そんな時期だからこそこの演目を演じられて良かったと思った。
いじめに遭い、何度も消えてしまいたいと思った。
けど、例え空想の話であれ、もしかしたら本当にそんな世界があって、私は自分の運命を覚悟して生まれてきたのかもしれない。
だから、私も自分で運命を切り開いてやろうと誓った。
虐待や育児放棄で死んでしまった子も、一縷の望みを胸に生まれてきたんじゃないかと思うと、子供のそういうニュースに胸が痛む。
文化祭で演じた直後、彼氏が亡くなってしまった。
悲嘆に暮れ記憶もすっぽり抜け落ち生きる望みを無くして絶望の底に居たけど、翌々月にあったコンクールに出たのは覚えてる。
こんな思いをしたからこそ、この演目を大勢の人に見て欲しかった。
結果、コンクールでは最優秀賞を頂き全国大会も約束されたけど、部長が『このレベルで全国なんておこがましい。辞退します』その一言で私の演劇部人生が終わった。
あれから20年、いまだに演じられてる演目だけど、これを是非映画化して全国の中学生、高校生に見て欲しい。
きっと、自分の人生観も変わるし、何より自分が産んだ命に対しての価値観が変わるから。
私のところに生まれてきてくれてありがとう。
王子に、絶えず思って感謝してる。
どんな事があろうと、王子は自分で自分の運命を切り開いてくれる。
そう望んでずっと見守って支えて行く覚悟で居るんだから、何にも心配しなくていいよって伝えてる。
今はその意味が理解できなくても、いつかグッドバイ・マイ・・・を見せてあげて、改めて伝える日がくれば…なんて思ってる。