NHKアナザーストリー:平成の吉野ケ里ブーム:其の三 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○昨日、2023年9月23日(土)に、『NHKアナザーストリー:平成の吉野ケ里ブーム』と言う番組について書いた。前回、『NHKアナザーストリー:平成の吉野ケ里ブーム:其の二』を書いたから、引き続き、今回が『NHKアナザーストリー:平成の吉野ケ里ブーム:其の三』になる。繰り返しになるが、この番組について、NHK自身が次のように述べている。

      アナザーストーリーズ 吉野ヶ里が燃えた

      ~邪馬台国をめぐる平成の大フィーバー~

      初回放送日: 2023年9月22日

邪馬台国の時代のクニではないか?1989年2月、朝日新聞とNHKが佐賀県吉野ヶ里遺跡の発掘成果を全国に報じると、連日見学者が押しかけ、“吉野ヶ里フィーバー”が巻き起こった。発掘後埋め戻され工業団地になるはずだった遺跡は、メディアの激しいスクープ合戦の末に保存されることに。発掘調査員や開発担当者、メディアや邪馬台国九州説を主張した作家・松本清張の思いが絡み合う古代史最大の謎をめぐる熱狂の真相。

  吉野ヶ里が燃えた 〜邪馬台国をめぐる平成の大フィーバー〜 - アナザーストーリーズ 運命の分岐点 - NHK

○NHKと朝日新聞の暴走は、何とも凄まじい。何も知らないと言うことは、何とも幸せなことである。何の制約も拘束も無いから、それこそ、勝手気ままに妄想を繰り返している。こういうのを共同幻想と言う。共同妄想は考古学者先生の専売特許かと思っていたが、どうやら、伝染するみたいである。NHKも朝日新聞も、すっかり、共同妄想の虜となり果ててしまっている。

○最近、NHKは、再び暴走し始めている。それがNHK佐賀放送局の「吉野ケ里特集」である。

      <テレビ>NHKで吉野ケ里遺跡特集 4月14日放送

 NHK佐賀放送局は14日、「月刊 発見佐賀!食べごろギュッとくん」を「吉野ケ里ゴーイングアンダーグラウンド」と題して放送する。10年ぶりに発掘調査が再開された吉野ケ里遺跡について特集する。総合テレビで19時半~同55分。

 再びブームの予感!? あの「吉野ケ里遺跡」を大特集! 最新の発掘調査で見つかった数々の出土品の秘密を探るべく発掘現場のバックヤードに潜入! 見えてきたのは「渡来人がもたらした”先進文明”」に、「天平の世まで栄えたことを物語る証し」。いったいどういうことなのか? そして、”古代都市”吉野ケ里の姿とは!? さらに、古代を知り尽くした女子たちが教える「吉野ケ里遺跡を全身で楽しむ方法」など、情報満載でお伝えする。

  <テレビ>NHKで吉野ケ里遺跡特集 4月14日放送 | 暮らし・文化 | 佐賀新聞ニュース | さがから by佐賀新聞 (saga-s.co.jp)

○この後も、NHKは、幾度となく、こういう趣旨の番組を制作、放送し続けている。ここでは、慎重に邪馬台国とか卑弥呼とかの言葉を避けているが、実際、番組では邪馬台国と卑弥呼の話ばかりであることに、驚く。

○つまり、吉野ヶ里遺跡だけでは、誰も興味関心を示さないし、誰もやって来ない。確認すると、ウイキペディアフリー百科事典では、次のように載せる。

      吉野ケ里遺跡

吉野ヶ里遺跡(よしのがりいせき)は、佐賀県神埼郡吉野ヶ里町神埼市にまたがる吉野ヶ里丘陵にある遺跡。国の特別史跡に指定されている。

およそ117ヘクタールにわたって残る弥生時代の大規模な環濠集落(環壕集落)跡で知られる。1986年昭和61年)からの発掘調査によって発見された。現在は国営吉野ヶ里歴史公園として一部を国が管理する公園である。

  吉野ヶ里遺跡 - Wikipedia

○その吉野ケ里歴史公園のホームページをみると、もう笑うしかない。

      吉野ケ里歴史公園

      特別企画展

      倭人伝のクニを探る

      邪馬台国と有明のクニ

      よみがえる邪馬台国

      2023年9月23日(土)~11月12日(日)

  玄海灘と並び大陸文化流入の玄関口「有明海」のシリーズ第2弾。

  沿岸に所在する遺跡群の最新の発掘調査成果から、

  有明のクニの全貌にせまる。

  吉野ヶ里歴史公園 (yoshinogari.jp)

○吉野ケ里歴史公園は、佐賀県最大の観光地なのだそうである。したがって、佐賀県が懸命になって吉野ケ里歴史公園を喧伝する。それは勝手である。しかし、嘘や誇大宣伝はよくない。吉野ケ里歴史公園と言う蛇が龍になっている。

○本当に、佐賀県が邪馬台国や卑弥呼に言及するのであれば、当然、その出典である「三国志」を問題とすべきだろう。「三国志」をよく読むと、吉野ケ里遺跡と邪馬台国とは無関係であるとある。当然、卑弥呼とも無関係であることは、間違いない。

○それなのに、吉野ケ里歴史公園や佐賀県が、さも吉野ケ里遺跡が邪馬台国であり、卑弥呼と関係するかのように喧伝するのは、明らかに誤りである。嘘はよくない。それも公的機関の発言なら、なおさらのことである。

○それもこれも、話の発端は、NHKと朝日新聞にあると、先日の『NHKアナザーストリー:平成の吉野ケ里ブーム』と言う番組が自ら自供しているのだから、こんな確かな話は無い。つまり、NHKや朝日新聞には、吉野ケ里ブームを作ったと言う、誤った自負がある。

○だから、こういう番組を制作したのであろう。見るに耐えない番組である。そのことがNHKや朝日新聞には意識されない。何ともおかしな話である。改めて、そのことを検証されることをお勧めする。これは情報操作であり、報道機関であれば、絶対にしてはならないことである。