黄庚:江村 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

 

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〇前回、黄庚の『閨情效香奩體』詩を案内して、黄庚の詩情が気になった。
  ・テーマ「寒食・清明・立春」:ブログ『黄庚:閨情效香奩體』
  https://ameblo.jp/sisiza1949/entry-12519979376.html?frm=theme

〇それで、もう一つくらい、黄庚の詩を案内してみたい。今回紹介するのは、黄庚の『江村』詩である。
  【原文】
      江村
         黃庚
    極目江天一望賒
    寒煙漠漠日西斜
    十分秋色無人管
    半屬蘆花半蓼花

  【書き下し文】
      江村
         黃庚
    目を江天に極むれば、一望賖かに、
    寒煙は漠々たりて、日は西に斜めなり。
    秋色は十分たるも、人の管することなく、
    半ばは蘆花に属し、半ばは蓼花たり。

  【我が儘勝手な私訳】
    川と空が何処までも広がる先まで目をやっても、一望のもと世界は広がり、
    寒々とした秋の夕霧が広がり立ち込めて来て、太陽も西に傾いてしまっている。
    この江村一帯は今まさに秋色一色だと言うのに、これを賞する人一人も居ない。
    半分は白い蘆の花が咲き乱れ、残りの半分は赤い蓼の花で埋め尽くされている。

〇黄庚の『閨情效香奩體』詩や『江村』詩を読むと、黄庚の詩情の豊かさに感心する。もともと、黄庚と言う詩人は、そういう詩人なのであろう。時間があれば、もっと訳してみたい詩人の一人である。