皎然:若邪春興 | 古代文化研究所

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○昨日一昨日と、宋之問の『宿雲門寺』詩、『遊雲門寺』詩に悩まされた。他に、宋之問には、『泛镜湖南溪』、『浣纱篇赠陆上人』、『谒禹庙』、『游禹穴回出若邪』詩などがある。しかし、これ以上、宋之問ばかりに拘泥するわけにも行かない。

○若耶渓に関係して、今回は皎然の『若邪春興』詩を案内したい。宋之問の『宿雲門寺』詩、『遊雲門寺』詩に散々悩まされた後であるからか、一種の清涼剤のような佳詩である。

     若邪春興
     唐:皎然
    春生若邪水
    雨后漫流通
    芳草行無尽
    清源去不窮
    野煙迷極浦
    斜日起微風
    数処乗流望
    依稀似剡中

  【書き下し文】
     若邪春興
     唐:皎然
    春生、若邪の水、
    雨后、漫流通ず。
    芳草、行くに尽きること無く、
    清源、去るに窮らず。
    野煙は極浦を迷はせ、
    斜日は微風を起こす。
    数処、流れに乗り、望むに、
    依稀、中に剡に似るあり。

  【我が儘勝手な私訳】
     若邪春興
     唐:皎然
    春は見事に若耶渓を甦らせ、
    雨が降った後、若耶渓の水は大きく広がっているのが判る。
    若耶渓には、春の草が何処までも青々と生い茂り、
    若耶渓の谷は、何処まで遡っても尽きることがない。
    夕方、あちこち立ち上る煙は若耶渓の広さを教えるし、
    夕陽は夕靄の中、優しい風を運んでくる。
    舟に乗り、若耶渓の中を何処までも進んで行くと、
    すべてが曖昧模糊とした中に、雲門寺の塔が山の上に鋭く建っているのが見える。

○中国の検索エンジン百度、「百度百科」が案内する『皎然』は、次の通り。

      皎然
  【百科名片】
   皎然,唐代诗僧。生卒年不详。俗姓谢,字清昼,吴兴(浙江省湖州市)人。南朝谢灵运十世孙。活
  动于大历、贞元年间,有诗名。他的《诗式》为当时诗格一类作品中较有价值的一部。其诗清丽闲淡,
  多为赠答送别、山水游赏之作。
    中文名: 皎然   出生地: 吴兴(浙江省湖州市)   出生日期:不详   逝世日期:不详
    职业:诗僧 代表作品:《诗式》、寻陆鸿渐不遇等  年代:唐代  俗姓:谢  字: 清昼
  【人物介绍】
   皎然 唐代诗僧、茶僧。生卒年不详。俗姓谢,字清昼,吴兴(浙江省湖州市)人。南朝山水诗创始人
  谢灵运十世孙。活动于大历、贞元年间,有诗名。他的《诗式》为当时诗格一类作品中较有价值的一部。
  其诗清丽闲淡,多为赠答送别、山水游赏之作。

○宋之問(656~712)と、皎然(大历:766~779・贞元:785~805頃の人)の落差は大きい。個人的好みは、断然、宋之問の方にある。ただ、皎然の描く世界にも憬れる。宋之問には苦しめられるが得られる喜びが大きいのに対し、皎然の世界はどこまでも爽やかである。