小宝島:民宿パパラギ | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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○小宝島訪問に先立って、民宿を予約した。十島村のHPには、小宝島の民宿として、湯泊荘・民宿いこいの森・民宿パパラギの3軒が掲載されている。ネーミングの面白さにつられて、民宿パパラギに電話したら、幸い予約することができた。

○今では、パパラギの名を知っている人の方が少ないのでは。サモアの酋長ツイアビが訪問したヨーロッパ訪問記の書名である。一時期、結構、流行った。「ウィキペディアフリー百科事典」には、次のように載せる。

      パパラギ
   『パパラギ』(独: Der Papalagi)は、1920年にドイツで画家で作家のエーリッヒ・ショイルマン
  によって出版された書籍である。サモアの酋長ツイアビが訪問したヨーロッパについて話した演説を
  まとめたものとしているが、実際はショイルマンの手になるフィクション(偽書)である。
  【概要】
   「パパラギ」とは「白い人」、「外国人」の意である。この本では、ツイアビがヨーロッパを訪れ
  て見た「パパラギ」について語るという形式で、欧米文明の批判が展開される。ショイルマンはサモ
  アに1年滞在したが、第一次世界大戦の勃発によりサモアを離れた。
   この本は10以上の言語に翻訳された。ヒッピー・ムーブメントの時代には人気を博し、出版から50
  年後にカルト本としての様相を呈した。ドイツ語版だけでも170万部が売れた。
   日本では1981年に『パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集』(著:ツイア
  ビ、訳:岡崎照男)として立風書房から出版された。帯では開高健、村上龍、朝日新聞・天声人語が
  賞賛している。(以下略)

○当時、文化人類学なるものが全盛の時代であった。多分、私が目にしたのも1980年代なのであろう。そのパパラギの名を冠した民宿と言うのが、吐噶喇列島の小宝島なら、何とも似付かわしいと感じた。

○民宿パパラギには二人と一匹の住人が居る。民宿パパラギのブログでは、女将と爺と老犬サンとなっている。なお、民宿パパラギには二つのブログがあって、一つは、
  ・「ぱぱらぎ」in小宝島の民宿・女将のちょっと奮闘記
  http://kodakarapaparagi.blog94.fc2.com/blog-entry-4.html#more
で、もう一つは、
  ・「小宝島日記」
  http://jijiragi.blog105.fc2.com/
である。ブログ「ぱぱらぎ」は女将のブログで、「小宝島日記」は爺のブログとなっているらしい。

○出掛ける前に民宿予約する際には、こういうブログがあることは、全然知らなくて、行ってから教えていただいた。

○「フェリーとしま」は、2012年12月11日12時30分の定刻に小宝島に到着した。港には20名ほどの人が居た。十島村のHPに拠れば、平成16年3月31日現在の小宝島の人口は、男22人、女21人の計43人となっている。小宝島の総人口の約半分がここに来ていることになる。

○下船して近くに居た方に、「民宿パパラギの方はいらっしゃいますか」と尋ねたら、すぐ傍に居た人がパパラギの爺であった。

○爺の運転する車で民宿に移動。小宝島は5月に訪れ、集落まで歩いている。歩いても15分も要しない距離である。民宿パパラギでは、女将さんと老犬サンが出迎えてくれた。老犬サンは年老いて目が悪く、ほとんど見えない。それでも人懐こい犬らしく、尾を振って歓迎してくれた。

○ちょうど、昼時で、到着するやいなや昼食をご馳走になった。何しろ、鹿児島市から南に300厠イ譴薪噶喇列島の小宝島である。島の田舎料理が出るものとばかり思っていたら、美味しい挽きたてのコーヒーに、自家製のパン、サラダ、パスタが出てびっくりした。食事するところも二階の洋間で、目の前に海が広がり、小島が浮かんでいる。これならちょっとした展望カフェレストランである。こんなお洒落な民宿が小宝島に存在するのに驚いた。

○島を散策して、夕方、民宿近くの海岸端にある湯泊温泉(露天風呂)で入浴。私が行ったところ、たまたま爺が入浴中で、二人で話しながらの温泉だった。隣に入り江があって、そこではお婆さんが釣りをしている。餌は磯蟹の足を剥き身にしたもので、竿先にテグスが付いて、浮子も何もなく、ただ釣り鉤があるだけの、極めて原始的な釣りである。大きなウマヅラハギが釣れていた。

○温泉から帰った5時過ぎ、女将さんが「爺がダレヤミを始めていますよ」とおっしゃるので、二階に上がって酒盛りとなった。泊まり客は4人。ビールから始まって、ワイン、焼酎と続いた。美味しい料理も沢山頂戴した。こんな民宿をしていたら赤字だろう。そう思って聞いたら、当然赤字だそうである。それでも楽しいから営業なさっているらしい。

○爺から吐噶喇列島や小宝島についての情報をたくさん得ることができた。それだけでもこの民宿を利用した価値がある。吐噶喇列島や小宝島がどういう島であるか、なかなか理解できない。酒盛りしながらの話であったが、貴重な時間であった。