かもつきのあひら | 古代文化研究所:第2室

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ブログ「古代文化研究所」で、書き切れなかったものを書き継いでいます。

◯2023年1月31日に、葛城の鴨都波神社に詣でて来た。鴨都波神社の名は、何とも神々しい。その鴨都波の御名は、どういう意味なのだろうか。鴨都波神社のホームページには、そのご由緒について、次のように案内する。

      ご由緒

 第10代崇神(すじん)天皇の御代、大国主命第11世大田田根子(おおたたねこ)の孫、大加茂都美命(おおかもずみのみこと)に勅を奉りて葛城邑(かつらぎのむら)加茂の地に奉斎されたのが始まりとされている。葛城加茂社(かつらぎかもしゃ)、下津加茂社(しもつかもしゃ)とも称され全国の加茂(鴨)社の根源である。明治以後、宮中八神殿の一社として鎮魂の祭礼に預かり給う延喜式内明神大社(えんぎしきないみょうじんたいしゃ)である。現在も宮中三殿の1つに合祀され継承されている。事代主神は元来「鴨氏」一族が信仰していた神であり、当社が事代主神の信仰の本源となる。大神神社(奈良県桜井市)に祀られる大物主命の子にあたることから、大神神社の別宮とも称される。当社の古い社名は「鴨都味波八重事代主命神社(かもつみわやえことしろぬしのみことじんじゃ)」であり、「鴨の水端(みずは)の神」と解され、鎮座地付近が葛城川と柳田川の合流点となり水に恵まれていたことから、元々は水の神を祀っていたとする説もある。また神社を中心とする一帯は「鴨都波遺跡」という弥生時代中期の遺跡として知られ、当時の住居跡や土器、農具などが多数出土しており、古代より鴨氏がこの地に住み着いて農耕生活を始めていたことが窺える。終戦までの旧社格は県社である。

 

◯また、御祭神については、次のように載せる。

​      鴨都波神社の御祭神

  主神:積羽八重事代主命(つわやえのことしろぬしのみこと)

  配神:下照比売命(したてるひめのみこと)

     建御名方命(たけみなかたのみこと)

  本殿境内社:大物主櫛𤭖玉命(おおものぬしくしみかたまのみこと)

        大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)

 

◯何処にも、「鴨都波」についての説明が無い。わずかに、「鴨の水端(みずは)の神」との案内があるばかりである。これでは何のことか、頓と不明である。日向国には、そのことについて、興味深い事実が存在する。

◯鹿児島県肝属郡を流れる川を肝属川と言う。何とも珍しい名である。ウィキペディアフリー百科事典が案内する肝属川は、次の通り。

      肝属川

肝属川(きもつきがわ・肝付川とも表記)は、鹿児島県南東部、大隅半島中部を流れ太平洋に注ぐ肝属川水系の本流で、一級河川である。上流部を鹿屋川と称する。「肝属川」の川の名前は「肝属郡」の郡名に由来する。

大隅半島西部、高隈山地御岳東麓に発し、笠野原西部を南流。旧吾平町北部で姶良川を併せると共に東流へ転じ、肝属平野南部をなぞりつつ志布志湾に注ぐ。流域の広範囲にシラス台地が分布する。

 

◯肝属郡は大隅国創設の当時から存在した古い地名である。ただ、その地名が何を意味するかは、頓と不明である。ただ、この地は、尋常の土地ではない。肝属川の河口は、神武天皇お船出の地であることは、前々回、ブログ『鴨神の故郷』で案内したとおりである。

◯同じように、彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵である吾平山陵も、肝属川の支流、姶良川に存在する。そのことについては、前回、ブログ『上鴨神の故郷』で案内している。つまり、この地が天皇家の故郷であることが判る。

◯そこがまた、『鴨神の故郷』であり、『上鴨神の故郷』である。そういう話を、ブログ『鴨神の故郷』やブログ『鴨神の故郷』でして来たわけである。そう考えると、『鴨都波神社』の、『鴨都波』の意味するところが見えて来る。

◯つまり、肝属郡の『きもつき』地名が、そのまま、もともと「かもつき」なのである。正確に言うと、「かもつきのあひら」になる。当古代文化研究所では、このことを随分前から、追い続けて来ている。

◯最初に書いたブログは、2012年2月3日に書いた次のブログになる。

  ・テーマ「狗奴国・救仁国の風景」:ブログ『かもつきのあひら』〜2012年2月3日〜

 

◯その後も、機会ある毎に、検証を加えている。幾つかを紹介しておく。

  ・テーマ:「おしえて邪馬台国」の不思議:ブログ『かもつきのあひら』〜2014年9月6日〜
 

  ・テーマ「日向国の邪馬台国」:ブログ『かもつきのあひら』〜2016年3月15日〜

 

  ・テーマ「肝属町の三岳参り」:ブログ『かもつきのあひら』〜2016年7月19日〜

 

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『かもつきのあひら』〜2016年11月26日〜

 

  ・テーマ「大和三山」:ブログ『かもつきのあひら』〜2017年12月20日〜

 

  ・テーマ「肝属町の三岳参り」:ブログ『かもつきのあひら』〜2019年5月19日〜

 

  ・テーマ「日向国の邪馬台国」:ブログ『かもつきのあひら』〜2021年2月16日〜

 

  ・テーマ「京都ぶらり旅」:ブログ『かもつきのあひら』〜2022年4月6日〜

 

◯つまり、2012年から、これまで、9回もブログ『かもつきのあひら』を書いていて、今回が10回目になる。当古代文化研究所としては、それだけ、丁寧に検証している。それが鴨神の故郷だと言うことになる。