おおいた姫島ジオパーク:姫島の黒曜石 | 古代文化研究所:第2室

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ブログ「古代文化研究所」で、書き切れなかったものを書き継いでいます。

○前回、ブログ『姫島七不思議:観音崎の千人堂』で、「姫島七不思議」の一つとして、観音崎の千人堂を紹介した。その観音崎の千人堂が存在するところはまた、同時に、「おおいた姫島ジオパーク」の『城山火山・観音崎火口』であり、『国指定天然記念物:姫島の黒曜石産地』ともなっている。そんな名所も珍しい。

○姫島村のホームページでは、次のように案内している。

      国指定天然記念物「姫島の黒曜石産地」観音崎

島内随一の景勝地である観音崎は、乳白色の黒曜石の断崖が、高さ40m、幅120mにも及んでいます。露天の黒曜石は、全国的にも貴重なもので、平成19年に観音崎一帯が、「姫島の黒曜石産地」として国の天然記念物に指定されました。
黒曜石は、古代の人々の石器材料として貴重であったため、人々はその原石を求めて姫島にやってきました。瀬戸内海唯一の産地であることから、東九州を中心に、中国地方や四国地方をはじめ、鹿児島県種子島から大阪府に至る広範囲の遺跡で姫島産の黒曜石が発見されています。
この断崖の上には姫島七不思議のひとつ千人堂があり、ここから見る周防灘に沈む夕日は絶景です。

  国指定天然記念物「姫島の黒曜石産地」観音崎 | おすすめスポット | 大分県姫島村 (himeshima.jp)

○ウイキペディアフリー百科事典でも、「姫島の黒曜石産地」については、次のように詳しく案内している。

      姫島の黒曜石産地

姫島の黒曜石産地(ひめしまのこくようせきさんち)は、大分県東国東郡姫島村にある黒曜石の産地である。2007年7月26日に国の天然記念物に指定されている。

姫島は国東半島北方の周防灘に浮かぶで、その西北部の観音崎に、海底から高さ約40m、幅約120mにわたって黒曜石の層が露出した断崖がある。このように黒曜石が地表に露出し、容易に観察できる場所は、日本国内では北海道遠軽町(旧白滝村)や長野県霧ヶ峰など数例しかない。特に、姫島では、海岸の断崖に露出しているため、黒曜石がに洗われる独特の景観を呈している。また、一般の黒曜石がその名の通り黒色であるのに対して、姫島では、乳白色から黒灰色で微細な斑点を有する特徴的な黒曜石を産出する。

  姫島の黒曜石産地 - Wikipedia

○姫島の観音崎の現地を訪れてみると判るのだが、千人堂の前に、「国指定天然記念物:姫島の黒曜石産地」の案内板が設置されている。つまり、『姫島七不思議:観音崎の千人堂』と「国指定天然記念物:姫島の黒曜石産地」とは、全く同じ場所であることが判る。

○「姫島の黒曜石」は、歴史の教科書で学習するほど有名なものである。それはまた国指定天然記念物でもある。そんな貴重なものが足元にあって、無造作に転がっている。そんな場所も珍しい。誰でも自由に手で触ることができる。

○それは、上記説明にもあるように、

   黒曜石は、古代の人々の石器材料として貴重であったため、人々はその原石を

  求めて姫島にやってきました。瀬戸内海唯一の産地であることから、東九州を

  中心に、中国地方や四国地方をはじめ、鹿児島県種子島から大阪府に至る広範囲

  の遺跡で姫島産の黒曜石が発見されています。

と言う貴重なものである。

○実物を手にしてみると判るのだが、完全なガラス質であって、極めて鋭利な刃物となる。したがって、矢じりなどに利用されて、日本各地に分散されている。ある意味、石器時代の貴重品であったことが判る。だから大いに重宝されたのであろう。

○そういう貴重なものが、姫島では無造作に存在していることが驚きである。姫島の黒曜石は石器時代に大阪から種子島まで拡散した。それ程貴重なものが姫島の黒曜石だったのである。その現地を訪れると、往古が偲ばれて楽しい。そんな島が姫島である。