○項楚著「寒山詩註」は、寒山詩に続けて、拾得詩57首と佚詩6首を載せている。どうせなら、全部を訳し終えたい。それで、拾得詩の訳となる。今回が第45回で、『自從到此天台寺(拾45)』詩になる。
【原文】
自從到此天台寺(拾45)
自從到此天台寺
經今早已幾冬春
山水不移人自老
見却多少後生人
【書き下し文】
此の天台寺に到るに從ひてより、
今早、已に幾冬春を經。
山水は移らざるに、人は自から老い、
却つて多少、後生の人を見る。
【我が儘勝手な私訳】
私拾得がこの天台山にやって来て住み始めてから、
今では早くも、もうすでに数十年が経ってしまった。
天台山の自然は全然変わらないのに、私はすっかり老い、
逆に、多くの人々が亡くなってあの世に逝ったのを見送っている。
○今回の『自從到此天台寺(拾45)』詩は、『雲山疊疊幾千重(拾36)』詩に続く七言絶句詩となっている。そういう意味では、今回の『自從到此天台寺(拾45)』詩は、『雲山疊疊幾千重(拾36)』詩と同じく、天台山での拾得の話と言う点で、共通している。
○ただ、『雲山疊疊幾千重(拾36)』詩が天台山での拾得の感慨であったのに対し、今回の『自從到此天台寺(拾45)』詩は、依然として、宗教詩である点で異なっている。
○適当な写真が無いので、今回から、四川省の峨眉山の写真を掲載したい。峨眉山は中国四大仏教名山の一つである。当古代文化研究所では、これまで3回峨眉山へ参詣している。