約束の日。

彼はちゃんと電話をしてきて。

家の近くのご飯屋さんに車で迎えに来てくれた。


そして彼の知り合いの居酒屋さんに連れてってくれた。

初めてのデートはドキドキで緊張しっぱなしだった。

車の中でも運転する彼の姿がかっこ良過ぎて顔を見ることすら出来なかった。

居酒屋さんについて2人で飲んだ。

あたしはかなり気分がよくてお酒を沢山飲んだ。

それほど彼との会話は楽しくて嬉しくてかなり舞い上がっていた。

何時間が過ぎ帰る頃にはあたしはフラフラになっていた。


しかも初めてのデートにもかかわらず車の中で寝てしまう始末。。。




今思えば当時のあたしは男性と2人で飲むというコトがどういうことなのか全く理解していなかった。

ただただ楽しくて幸せで飲み続けた。

若かったし相手への配慮なんてお構いなし。

男性を大して知らない小娘がただ彼に夢中になり誰に進められた訳でもないのにお酒をかなり飲み。

女としては最低だったと思う。




気持ちいい気分で寝ながらもなんとなく彼の車が走っていたのは分かっていた。

そしてトントンと叩かれ。

気づいたらホテルの駐車場だった。


その瞬間「ハッ」と飛び起き。

自分はとんでもないコトをしてしまった。。。

とお酒がサーッと抜けていき顔もかなり焦ってしまっているのが分かった。


「ゴメン。そういうつもりじゃないの。ゴメン」


その後彼がなんて言ったかは覚えてないけどすぐに車を出しまたウチの近くのご飯屋さん

に帰ってきた。


もうウソはつけない。

彼の男としてのプライドを傷つけてしまった。

あたしには彼氏がいるのに。

マサオを裏切るような行為だけはやっぱり出来ない。


そう考えたら涙が出てきた。

浅はかな考えで彼と会ってしまったこと。

何も考えず深酒をして彼にとても失礼なコトをしてしまったこと。


「ごめん。あたしウソついてることがある。

あたし実は彼氏がいる。

でもあなたに会いたかった。

彼を裏切るようなことはやっぱり出来ない。

ゴメンね。

もうあなたとは会えない」


「いいよ。謝らなくて。

何かしようと思ってた訳じゃないよ。

酔ってたからこのまま帰すことは出来ないと思った。

本当だよ。

しかもオレもウソついてたことがあるんだ。

オレも彼女が実はいるんだ。

この間約束したときも実は彼女が急に家に来てでて行くことができなかったんだ。

オレの方こそ怖い思いさせてごめん」


やっぱりいたんだ、彼女が。


「でももう会わないなんていわないで欲しい。

これからも会いたいんだけど」


あたしはもう会うのは止めようと頑なに言った。

お互い彼氏彼女がいるんだから。

ただ会うだけでも裏切りには変わりない。

彼のコトが好きだったけどマサオと別れようとは思ってなかった。


マサオは確かに自分勝手であたしのコトは全然相手にはしてくれないけど。

でも女遊びするような人ではなかった。

そして十分あたしのコトを好きでいてくれてるのも分かってる。

キャバクラに勤めていることももちろん良い気はしてなかったけど。

車の免許の為だから、ということで許してくれていたのに。

簡単に信じてくれている彼を裏切るわけにはいかない。


しかもトシ君とはキャバクラで出会った人。

どうしても彼を信じていくことが出来なかった。

例え付き合ったとしてもまた同じように他の女性を好きになってしまうかもしれない。

彼はあまりにもかっこ良過ぎるから。

心配で仕方ない状態になる。

あたしみたいな人にはつり合わない。


そんな風に冷静に考えていた。

結局朝方彼とは別れた。


彼のコトを好きだったしもう会えないと思うと辛かった。

でも彼と付き合う勇気がなくて。

泣きながら車を降りた。


帰り際彼はあたしを抱きしめた。

締め付けられるほど心が痛かった。

切な過ぎて涙が出た。


この時彼の手をしっかりと掴んでいたらあたし達はどうなっていたんだろう。












トシ君と会う約束をしたその日。

マサオには仕事だとウソをつき家で携帯片手に彼からの連絡を待った。


約束の時間が来ても彼から連絡は来ない。

電話くれると言った以上自分から電話するのは嫌だった。

結局何時間待っても電話は来なかった。


「すっぽかされたんだ。

浮かれてバカみたい。

やっぱり会うなってことなんだな。

あたしにはマサオっていう彼氏がいるんだし。

なんなら彼女いるんじゃないだろうか。

あんなにカッコいいんだしいてもおかしくない。。。」


そう思いながらその日は眠りに就いた。




次の日。

分かっていながらも納得がいかず携帯に電話してみた。



「はい。」



電話にでた。


「昨日ずっと待ってたんだけど~」


とあたしはあえて明るく振舞いながら言った。

ショックを受けていたことを悟られたくなかったし相手に重い雰囲気を与えてしまうことも怖かったから。


「ゴメン。昨日急に車が急に動かなくなっちゃって修理に出したり

忙しくて連絡しなくちゃと思ってたのに出来なかったんだ」


すぐにウソだと分かった。

でももうそれで諦めようと思った。


「もういいよ。気にしないで。」


明るく言ったつもりだったけどきっと電話ごしにあたしが怒ってることは

察したみたいで。


その夜いきなり彼がお店に来た。


彼は謝ってきてもう一度会う約束をしたいと言った。

もう騙されたくないし傷つきたくもない。

でも彼の誘いを断ることが出来なかった。

彼のコトがもっと知りたくて仕方なかった。


あたし達はもう一度会う約束をした。

もう一度彼を信じることにした。



あたしにはそのとき彼がいた。

3つ年上のサラリーマン、マサオ。

何も文句を言わない人だった。

それに彼は凄く多趣味な人で。

休みの度に気の会う仲間と出かけてた。

あたしと会うよりも友達と遊ぶのに夢中だった。

昼と夜で会う時間もなく寂しくてよくケンカをしてた。

マサオのコトは凄く好きだった。


トシ君と会ってからもマサオとは上手くいってた。

トシ君のコトは忘れることはなかったけど連絡先も知らないし1ヶ月後もう一度お店に来る訳はないと思ってた。


でもその1ヶ月後の金曜日。

一日中ソワソワしていた。

その日もお店は混んでいた。

まだ入店して1ヶ月であたしの指名客は2人くらいしかいなかった。

夜8時から仕事をしてて11時過ぎても彼は来なかった。


「やっぱりね。。。でも来なくて良かった。期待する方がおかしいんだから」

そう思いながら仕事をしていると。


結構遅い時間だった。

彼が来た。

彼は店長に耳打ちしてきっと「指名ゆうかで」と言ったと思う。

でもあたしは指名客なんて沢山いなかったから店長が「ゆうか?」と聞きなおすほどビックリなコトだった。

また同じメンバーの6人だった。

あたしはドキドキしながらまた彼に着いた。


「来ないかと思ったよ」


そう言いながら凄く嬉しくて顔はニコニコしていた。


あたしは携帯を聞かなくて凄く後悔したと言い着いてすぐに携帯を聞いた。

そして他のお客さんには携帯持ってないとウソをついて接客してたのに

彼に積極的に番号を教えた。

あたしは彼と夢中で色んなコトを話した。

とにかくトシ君は明るくて面白い人で。

顔はカッコいいのにかっこつけてないとこにますますあたしは吸い込まれた。


そして彼はバンドを組んでて。

あたしの大好きなバンドのコピーをしていた。

その話でもかなり盛り上がり。

カラオケを歌ってもらったらかなり上手い。。。

あたしは歌が上手い人だ代好きで。

運命的な出会いを感じずにはいられないほどだった。



そのときすでに彼とプライベートで会いたいと思い。

自分から今度飲みに行こうと誘った。

彼もすんなりOKをして。

会う日に電話をくれることになった。