豊かな村の豊かな暮らし。太陽は輝き すべてのものを照らし小鳥たちの美しいさえずりが重なり合う空に浮かぶ愉快な形の雲は風で流され畑の豊かな土壌につやつやと作物が実るあまるほどはなくても必要なものはすべてそろっているなんという素敵な暮らしなんという豊かな暮らし
氷のしたの紺色の世界。 ごうごうとブリザード吹き荒れる朝5時半 このあたりではよくあること 日の光もぼやけてあたり一面白の世界 この店は厚い厚い氷の上に建っていて その厚い氷のしたには 冷たくて透明で静かな紺色の深い海 地上で吹き荒れるブリザードなど知らずに 大きなクジラが目を閉じて眠っているのか 深い深い海の底 だれも知らない無音の世界
小さな診療所の大きな先生。 大きな体で 口数少なく 来る日も来る日も お薬の匂いがする清潔な診療所で もくもくと仕事をする お花を育てるのが好きで 朝来るといつも お花の様子を気にかけている 穏やかで誠実な性格から 老若男女みんなに慕われている 小さな診療所の大きな先生
赤土の道をゆこう。 毎日届けられるいくつもの小包 スタンプをリズムよく押して 手際よく重さを計ったら 少しオンボロの配達バイクに積み込んで 丘を越えて遠い街まで運びに行こう 赤土の道をがたがたと走り 緑のパッチワークの景色のなかをゆこう 大空にちぎれたような雲が浮かんでいる 私は村でたったひとりの郵便屋