男二人のロードムービー。
一人は野崎陽一郎、元営業マン。
動脈瘤だと医者に宣告され、会社は退社。
動脈瘤の破裂は5分後か5年後かはわからないが、
手術をしなければいつかそれは破裂し死に至る。
手術は大変なリスクを伴い、最悪今までの29年間の記憶を失うこともあるという。
もう一人は鳥越弘、弁護士。
鹿児島・指宿のホスピルから妻・恵子の死を告げられる。
悲しいことに、妻・恵子の顔が思い出せない。
恵子とは駆け落ちまでした結婚だったが、仕事の忙しさから離婚。その時に写真は全て捨てた。
鳥越は鹿児島まで車で行くことを決め、
そのドライバーとして野崎は依頼を受ける。
通る道は国道一号線、二号線、そして三号線。
鳥越がかつて恵子と駆け落ちした時に通った道だ。
実はこの映画を見ているとき、いつもにもまして集中力がなかった。
何度巻き戻して見たことか。
また淡々としているので、眠くなって三回程寝ました。
それでも言えるのが、この映画はすごくいい映画だということ。
映画に集中できなかったのは色々考えてしまったからでした。
記憶を失うことと死ぬことは、自分だったらどっちのが嫌かな、とか。
ただ集中できてなくてもラストはわかりやすいので無問題。
ラストがすごくよかったです。
恵子の遺品というのは二冊のファイルだった。
ファイルには鳥越が25年追っていた冤罪事件の新聞記事の切り抜きが綴じられていた。ファイルの黄ばみが25年の長さを語っている。
最後に一枚の写真が挟まっていた。若い頃の鳥越と恵子が写っていた。
恵子の残したものはもう一つあるという。
海岸に広がる「忘れな草」の花畑だ。
恵子がこの鹿児島のホスピルにきた時に植え、ここまで育ててきたのだ。
忘れな草の花言葉は、真実の愛。
そしてもう一つ、「わたしを忘れないで」。
鳥越は泣いた、きっと全てを思い出したのだ。
野崎は手術を受けることを決心する、鳥越の姿に自分を見た。
「記憶を失ってもきっとここにくれば思い出せる。」
そんな野崎に鳥越が言った。
「それでも俺はお前を無傷で待つ。」
涙こそ出なかったのですが、感動はとても大きかったです。
また後から後から、胸の中で感動が膨らんでくるような感じでした。
深い愛、そして生きる希望、意味を噛みしめる作品。
ただの淡々としたロードムービーで終わることはなかったです。
DVDに保存してまた見ようと思います。