いきなり聞き覚えのない凄まじい

アラートに 出口を示すライトが目まぐるしく点滅し始めた 

私達乗客は 確か上空約1万メートルに

いるはず

「通常」とは言えない状況に皆に緊張が走ったのを肌で感じる


積極的長生きをしたいと思わなくとも

こういう状況に開き直るほど肝は据わっていないと自覚した


安全を確認するために

CA5〜6名がかけつけてくる

どうやら私の眼の前のトイレの中に

狙いを定め

彼らがトイレを囲む


その雰囲気から

機材の不具合や

事故による即墜落に繋がる話ではなさそうだと悟る


人間現金なもので

自分に被害が及ばないとわかると

即座に

トイレ内の喫煙か?

体調不良者か?

どんな人がどんな風に出てくるのか?に

興味が変わる


CA達は真剣な顔でトイレの中の人物に

話しかけている


が 誰一人 

トイレの中に入ってゆかないため

誰かが倒れていた訳ではないらしい


タバコかよ


タバコだな


どんなヤツだよ


どんな顔して出てくるんだよ



じ〜っと目の前のトイレを見ていたら

若い仏人男子が

全く悪びれもせず

例の言葉を吐きながら出てきた


Ce n'est pas grave キリッ!


出たよ(笑)



長年仏語を操りビジネスをしてきた夫も

未だに解せないというこの言葉


自分に落ち度があるときでさえ多用される

「気にすんなっ!」という言葉


いやいや

イロイロ気になるわなぁ


高度1万メートル超での禁を破るその勇気

悪びれもせぬその態度

人々を一瞬だったとしても恐怖に陥れたその行動力?(笑)


文化の違い という

寛容な言葉では包括しきれぬくらい

オバちゃんは アンタの頭の中が

気になるわ(笑)