メランコリックには浸れない・・・ | それでも 満腹中枢はお留守です!?(仏国移住篇?)

それでも 満腹中枢はお留守です!?(仏国移住篇?)

愛しい娘は空の上。夫は安定した地位と収入を手放し「た」
50過ぎからの刷新人生(驚)やっぱり今日も食べて食べて食べ尽す。満たされぬ婆の言いたい放題書き放題自慰ブログ。消化不良を起こしても自己責任でよろしくネ♡ 無断リブログはご遠慮ください

「粉塵騒ぎ」が勃発して 結局どのくらい時間が経過したのだろう?

 

私は数日前に 住んでいたのが たった1年と半年とは思えぬほど思い入れが出来た上海1軒目の家とおさらばをした。

 

「相性が良い」と思ったマンション&そのスタッフ達に好印象で去りたい・・・という完全なる自己満足の理由から

夜な夜な旧宅に戻っては清掃を施し

最後の退去チェック時には「なんてキレイなの!?」とスタッフに感嘆の声を上げさせたほどだ。

 

「このキレイさじゃ また工事問題が終了したら あなたこの部屋に戻ってこれるわよ!」とスタッフ。

 

「彼ら」から欲しかった1言である。

しかし 冗談じゃない・・・・

 

どんなにこのマンションを気に入っていたかの主張虚しく

「嫌なら出ていけ」的な対応をせざるを得ないマンション側の気持ちも慮りつつ
それでも立ち去らねばならぬ己の気持ちとのフンギリと

決して若くはないのに 「無駄な」引っ越しに伴う 「さらに無駄な」労力→☆彡

 

私は これまでの引っ越しの中で1番 心身の疲弊を引きずってい「る」

そう。 これを書いている今も まだ ぶっちゃけ疲れきっているのだ。


<金輪際 上海市内での移動はしたくない>・・・・・というのが 偽らざる私の今の気持ちだ。

 

退去チェック日の朝 私は部屋や部屋備付の家具に感謝の言葉を口にしながら

丁寧に拭き掃除をした。

(物を捨てるときにも 感謝の気持ちを伝える・・・・という私独自の儀式がある(笑))

 

ちょっぴり こみ上げるもの有り。

 

 

不思議と当時持ち家だった東京の家をはじめ

ボルドーの2軒の家、パリの家を立ち去るときより

「去りがたい」思いが強いのは ただただ私が歳老いてきた証拠だろうか・・・・・?

涙もろい・・・のは 更年期に突入しだしたせいだろうか?

 

・・・・・・・・拭き掃除最終段階に入ったあたりに ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

水道や電気のメーターをチェックする技術系のスタッフらしい・・・・

 

「どうぞ そのままで・・・・」の私の言葉を受け入れず

丁寧に靴を脱いで室内に入ってきてくれた。

 

・・・・・・・ら

 

クサイのだ。

最初は 何の臭いかわからなかったが

完全にクサイのだ。

彼の足が この半世紀記憶に残る中で1番クサイ足なのだ。

 

私は自らが 遺伝的に「クサイ」体質を持つため← 所謂 ワキガ体質です。ケアしてるので

他者にクサイと指摘されたことはないけれど(私の周囲が優しいだけかもしれないが)

 

他者の身体から発する「臭さ」に あまり積極的に文句を言わない。

いや 言えない。

 

いや 望まずに発している臭気で 思春期の頃 神経質になった経験もあるので

「クサイ」側の気持ちがよくわかるのだ・・・・・

だから 無闇に アイツクサイ・・・・・等 言えてしまえる人間に残酷ささえ感じる方なので

人間から発する臭気にあまり感想を口にはせぬのだ。

 

だが

私の「他者の心を慮る」ざるをえぬ 私の過去のトラウマ(?)も軽く超越して

彼は本当にクサイのだ・・・・・

 

大げさではなく 彼の歩いた軌跡に 強烈に臭いの立ち込める柱が建っているように

靴のみならず 彼のいる場所のみならず

全てがクサいのだ・・・・・

 

神経質な私は 彼の臭さよりも

間もなくやってくる チェックの人に この臭気を悟られる事態に恐れおののいた。

多分 私の過去のトラウマのせいもあるのだろうが

 

これまで数日 空っぽになった部屋を清掃し続けた私の行為をたった「数歩」で帳消しにしてしまうほどの

臭いに絶望さえ感じる・・・・・ ほど 私は狼狽えていた。

 

彼にはもしかしたら罪がないかもしれない・・・・・が(いや ケアしたらココまでではないし

どんだけ 長い期間履き続けたら 靴にこれほどまでの個性を残せるのか想像さえできぬ)

 

この鼻がもぎれそうなほどの ニオイに 申し訳ないけれ憎悪さえ浮かぶ。

 

中途半端な完璧主義の女は 心の許容範囲が狭いのだ

その自覚はある。

 

彼が去った後私は

慌てて 空気清浄機二台を一か所に集約し

「急激換気」で 臭気を取ると同時に

床の拭き掃除。

そして窓を前回にした。

 

辛うじて 部屋に残してあった 清掃用ウェットティッシュを使い切った後は

廃棄する予定であった インテリア用のアロマの棒を振り回す。

 

下手な魔法を操るのに必死な魔法使いのオババのように

スティックを必死に振り回す私は 他者からみたら滑稽だったはずだ・・・・・。

 

かろうじて かろうじて・・・・・

チェックにやってきたスタッフに 彼の「残り香」を感じさせぬことに成功したと思いたい(私の鼻が慣れてしまっていたかもしれぬが)

 

退去の手続きをするため

チェックのスタッフと 担当不動産屋さんが先にロビーに下りていった。

 

私は もう1度

気持ちを穏やかにしながら

「ありがとう」 の言葉を口にした・・・・。

 

何だかわからないけれど

背後にした 「今までの我が家」 を背中に感じながら

ちょっとウルウルしながら廊下を歩き やってきたエレベーターに乗った・・・・・

 

・・・・・・ら これ以上ない大音量で 中国人のババァが 韓国のポップスと思われる

若者の歌をノリノリで聴いていた・・・・・(呆)

 

あまりの 「耳をつんざく」 音で 私の目にあふれんばかりに湛えられた涙は 一気にひっこむ

 

「・・・・るせーな・・・・」 

 

行儀は悪いが

 

そのオバハンの音楽に

私は これまでの粉塵騒ぎ

振り回されっぱなしの引っ越し作業

私の「完璧」を赦さぬ クサイ足の臭い

そして それらをひっくるめた 心身共の疲弊全てに「やつあたり」するように

 

「るせーな!」の部分にアクセントを思いっきりつけて

大きな声で文句を口にした。

 

が 彼女に日本語が通じなかったのか

そもそも 私の声なんぞ 大音量の音がかき消していくせいか・・・・・?

 

私の声にも眉間のシワにもお構いなく

カノジョは ノリノリで わけのわからぬ音楽(←音楽とも思わんが) に耳を傾けている

 

徹底的にメランコリーな気分にひたりたかったのに

クサイカレとウルサイカノジョのおかげで・・・・

私はあまりにも冷静な 否 イラついた状況で大好きなマンションを後にすることになった。

 

それでも

いつも 笑顔で扉を開けてくれた大好きな

小柄のドアマンが この日の担当だった。

 

テレ屋なカレに

彼より背も幅も大分でっかい私だが

ハグをして ありがとー!と挨拶をした。

 

こんな キタナイデブババァにハグされても・・・・

普段 ハグされる生活をしていないカレは

心底戸惑ったのだろう。

かなぁり 緊張した顔で固まっていたけれど(笑) 許せ!

これも 私のこのマンションへの惜別の儀式なのだ。

 

 

明日から 彼らは またこれまでの同じように

やってくる(帰って来る)住人を迎え

でてゆく住人を見送る・・・・だろう。

いずれ 私の住んでいた1〇階の〇号室にも

新たな住人がやってくるだろう・・・・。

 

私にとっての「特別」な出来事も彼らにとっては

ごくごくありきたりの「日常」でしかなく

 

それが なんだか 悔しいやら

逆に救われるやら・・・・・・ 

 

いずれにせよ 私は 新しいマンションで 上海の第二楽章を始めた。

この二楽章が主張なく 新たな楽章にバトンタッチをするだけの静かな楽章であるのか・・・・

続く三楽章をよりドラマティックなものにするための美しい旋律を有するものなのか・・・は

自分次第なのだろうけれど・・・・・

 

そうは長くはない(と思いたい(笑))上海での1軒目の家が

これほどまでに 心に響く・・・ ステキな場所であったことは 恵まれていたんだな・・・・と思う。

そんな「思い入れ」の部屋にすべく

私は 新しいマンションのお片付けにも精を出そうと思う。

 

そう。 このとんでもない疲れが癒える頃には・・・・