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「サンタ対くつしたキリン」

 

1 「ファーストコンタクト」

 

ある年のクリスマスの夜、そのサンタは怒っていました。

 

仕事を邪魔されたからではありません。他人の家に勝手に不法侵入をし、

誰にも気付かれず、眠っている子供達の枕元にプレゼントを置いて帰る

という楽しみをその子キリンに奪われたからです。

「そこをどいてはくれまいか ?」

そのサンタの言葉に無言でキラキラした目で、くわえたくつしたを

差し出すだけで動こうとしない男の子のキリン。

その態度にムッとしながらもサンタはくつしたにプレゼントを押し込み、

次の職場に向かいました。

「あの子キリン、絶対忘れん!」

出会いは最悪でした。

 

 

2 「進撃のくつしたキリン」

 

次の年のクリスマス。

「さあ! 、今年もいっぱい不法侵入してやるぞ!!」

そう意気込み、サンターハート秘密基地の格納庫にやって来たサンタクロース。

 

 

しかし、彼を待っていた者は、サンターハート2号に繋がれたロープを

トナカイのメアリーから奪い取り、自分に繋いで嬉しそうに目をキラキラさせた

去年のあの子キリンでした。

「そうまでしてプレゼントが欲しいのか! この強欲者め!」

サンタは激怒しました。

「そんなに欲しければくれてやる!」

サンタはまた、くつしたにプレゼントを押し込み、

子キリンを基地からたたき出し、警察に連絡をして

送り帰させました。

 

その次のクリスマス。子キリンは煙突にも顔を出さず、

基地にもやって来ませんでした。

「フン! 少しは反省したか!」

サンタは悪態をつきながらも内心、

「少し言いすぎたかのう・・・。」

と、少し、いえ、かなり後悔していました。

そんなサンタを見かねたトナカイのクリスとメアリーの姉弟は

ないしょで子キリンの家をのぞきに行きました。

 

 

3 「プレゼントなんていらない。」

 

そのまた次のクリスマスのイブ。

サンタは風邪をひいて寝込んでいました。  サンタクロースなのに・・・。

「明日は何としても仕事に行き、子キリンに謝ろう。」

そうベッドで思うサンタの部屋になんと、

その子キリンが入って来ました!。

 

 

突然のことに意地っ張りなサンタは、

「なんじゃ! また来たのか、この強欲者め! 」と、

再び悪態をついてしまいました。

 

「まって、おじさん!!」

 

全てを知って子キリンを連れて来たクリスとメアリーがプレゼントは、

血のつながらない子キリンを育ててくれた、

おじいさんとおばあさんのために。

基地への侵入はプレゼントのお礼にサンタの手伝いをしたくて

やったことなのだと説明しました。

「そうだったのか・・・。なのにワシはこの子になんてことを!・・・。」

そう心で激しく後悔してもまだ素直に子キリンに謝れない

意地っ張りで素直じゃないサンタにメアリーが、

「今年はこの子の分のプレゼントもあげなくっちゃね!」と。

「そっ・・・そうじゃな・・・。」

ようやく、意地っ張りで素直じゃなく、ひねくれ者のサンタは、

つぶやくように言いました。

でも、プレゼント用の大事なくつしたを口からはじめて離した子キリンは、

 

「おじさんの風邪が治って元気になってくれれば、僕は

プレゼントなんていらないよ。」

 

と、少し照れながら言う子キリンの顔を暖炉の炎がやさしく

照らしていました・・・。