きぃちゃんの結婚条件

うわ～ん

ほぼ書き終わったのに画面遷移で消えた～

って心折れてたんだけど、やっと書き直し。

【ちょっと前日記】

2021年11月８日（月）　けーちゃん79歳

前回↓のつづき。

1か月の入院でかかとに床ずれ＆足が萎縮して曲がったままなのでリクライニング車椅子の送迎タクシーを手配して大雨の中退院。

タクシーの中で

「おもかげ（虎屋の羊羹）、食べる？」

って出したら

「食べる～」

ってほんのちょっとだけどかじってた。

少しでも食べる意欲と飲み込みが出来てよかった。

結局これが人生最後の食事になったから、好きなもので良かった。

この間、

「おもかげが甘くてしょっぱくて一番好き。」

ってイトコのアミちゃんに言ったら、

「けーちゃんもおんなじ事言うてたわ。

虎屋で色んな味の羊羹入った化粧箱入りのやつあるやん？

『あんなんいらんねん。

うち、おもかげだけでええねん。』って。

親子やな〜（笑）」

って言われた。

けーちゃんと似てるとか嬉しくないけど、虎屋に行ったら

「箱？要らないです。バラでおもかげだけ下さい」

ってミニおもかげまとめ買い。

高くてもこれだけは譲れない

という私の謎のこだわり。

◆

施設に到着してベッドに寝かせたんだけど、意識もしっかりしてるし会話もちゃんとできる状態。

でも、もって数日～1週間って言われてたから親しい人に最後のお別れを・・・と思ったけど、Lineのビデオ通話やったら顔見ながら話せるんちゃう？とひらめいて、本人にはお別れの挨拶とは悟られないように（いや、わかってたかもしれんけど）

「Lineのビデオ通話でみんなに退院の報告しとこか～。みんなめっちゃ心配してくれたはるしな。」

って勧めたら

「する～」

って言うから、リクライニング起こしてまずはひーくん（私の弟）に連絡。

「仕事中やけどええで。」って出てくれた。

あれ？！ちょっと前まで北斗の拳の悪者みたいやったのに、

なんかいかついベートーヴェンみたいになってる～

指揮者？！

そら、アーティストの方ですか？って言われるわ

で、数年ぶりに息子の顔を見れて涙ぐみながらも「あんた、えらいデブやな～！」って言ってしまうけーちゃん(笑)

短い時間だったけど、ちゃんとお互いの顔見て話せて良かった。

そしてこれがひーくんとけーちゃんの最後の会話。

◆

次はけーちゃんの妹のせっちゃん。

突然の連絡やったけどせっちゃんも

「かまへん、かまへん。

けーちゃん元気か？

最近な、『みかんの花咲く丘』家でよううとてるねん。

けーちゃんと小さい頃よううとたやろ？

覚えてるか？」

って思い出話してくれて、けーちゃんも

「覚えてるわ～。」

って二人で口ずさんだりしてた。

途中感極まって泣いたりしてたけど、せっちゃんに

「けーちゃん、元気にしーやー！」って言われて

「おおきにな。せっちゃんも元気にせなあかんで。ほなな。」

って明るくお別れできて良かった。

◆

最後は一番仲良かったお姉ちゃんのきぃちゃん。

けーちゃん、七人兄妹やったけどずっと仲良くしてたのは妹のせっちゃんと姉のきぃちゃん。

若い頃、超絶美人だったきぃちゃんは何人かにプロポーズされたんだけど、

「結婚したら妹のけーちゃんもついてくるけどかまへん？」

って聞いて、ＯＫしてくれたのが今の旦那様（たっちゃん）らしいんだけど、それで新婚のきぃちゃん家に居候し、なんならきぃちゃん家でお好み焼屋を開くけーちゃんに、「なんでやんねん！」って言わなかったたっちゃんすごいわ。

人の家でお好み焼屋開いたけーちゃん(笑)

ついでに私も中３から高校時代、半家出してきぃちゃん家に寝泊まりさせてもらって学校通ってた時期があるから、本当にきぃちゃんとたっちゃんには頭が上がらない。

（なのにちゃんづけなのは我が一族の伝統。イトコ達みんな叔父叔母をちゃんづけで呼んでる）

で、親子してそんだけお世話になったのに、認知症のせいで「きぃちゃん、私が預けてた２０万盗ったやろ！今すぐ返して！」って電話をかけまくり、いつの間にか「200万返せ～！」ってなって、最終的にきぃちゃんの娘の旦那さんにまで「きぃちゃんに盗んだお金返せって言って！」って電話するようになってしまって（しかも向こうは仕事で運転中）、絶縁状態になってしまったのだ。

それでも裏でずっと心配して私に連絡くれてたきぃちゃん。

けーちゃんに

「きぃちゃんとは色々あったかもしれんけど、ほんまに心配してくれたはんねんで。きぃちゃんにも退院の挨拶だけするか？嫌やったらええけど。」

って聞いたら小さい声で

「・・・しゃべる。」

って言うから、きぃちゃんにもビデオ通話の連絡してみた。

つづく。