「ごめん…俺、お前の事好きになった――っぽい」
僕の先輩にこう耳元で囁かれたのは、ついさっき。
なんで?何で僕の事を好きになったんだ?
こんな、僕の事を――男の僕の事を、好きにな ったんだ?
第一章
「先輩がそういうの言うって、珍しいですね」
僕は、先輩が本気で言ってるという事を分かっていてとぼけた。
冗談だと思ってると思わせたら、何か本当に冗談になりそうな気がしたからだ。
「ごめん、俺本気だから」
先輩が、コツコツと近付いてきて僕の首の後ろに腕をまわした。「好きだ――翔(しょう)」
「ごめんなさい、僕、その―」
「でも俺、本気だって言ったよな。どんな女子も好きになれないのに、最近はお前の事ばっかり見てる」
ぎゅっと抱きしめられて、翔はどうしていいのか分からなくなった。
頬にあたる、高島先輩の息が熱い。
「俺――どうしちゃったのか分からないけど、ヤバイ…んだ」
鼻の先で細まった、形のいい高島先輩の目が悲しそうに潤んだ。