今年読んだ小説の32冊目。単なる自分の記憶用

方舟　　夕木春央

20代の社会人が、とある島で大学時代の友人達とキャンプをしているときのこと。ある者が過去に発見していた謎の地下要塞へ行こうと皆を誘い、全員ぶーすか言いながらもその地下要塞へと辿り着く。地下要塞やその周囲を調べている間に道に迷った家族と出会い、暗くなっていることから全員で地下要塞に泊まることに。地下要塞には電気もあり部屋も沢山あったが、地下3階は地下水に満たされていた。翌早朝に震災が起こったことで出口が塞がれてしまい、地震の影響か地下水も上昇してくる。猶予は1週間程と推定されるなか、脱出方法がみつかるが、そのためにはどうしても一人は要塞の中に残らなけれはいけない。そんななか、一人が誰かに殺されてしまう。一人残る者は殺人を犯した者にすべきという意見は一致をするが、そもそも誰が殺したのかがわからない。極限の状況のなかで生き残る者はいるのかという話

要約したが長い。複雑な場面設定ではあるが、要するに極限の状況で人はどうなるかという話だろうと思い購入した

読んだ結果、自分に置き換えて考えてみると、読んでいるときの感想は「こんなに落ち着いていられるものなのかな」というのが正直なところ。登場人物は終始比較的冷静で、中心人物の頭の回転の速さが目立つ

ただ、これは私が閉所恐怖症だからかもしれない。というか、閉所恐怖症である私は地下要塞に入らないし、そこで寝ようとも思わないし、そもそもノリで地下要塞へ入っていくような集団とキャンプに行くことは生涯無いと思う

このような自己分析はどうでもよくて、小説の内容だ

本書の紹介文などで「この衝撃は一生もの」などと書かれていた。「最後にどんでん返し的な感じかー」などと思いながら読み進めることに

半分くらい読んだところで、最終的に犯人となるべき者は判別できた。そして、そいつがどういう奴かということも凡そ推測できた。ただ、最後にそうなるとは思わなかった。私が甘かった

実際に体験しないであろう場面設定であるわりに、上手く小説の中に引き込んでくれる作品だった。謎解き系・どんでん返し系・嫌ミス系が好きな人はハマる作品だと思う

読んでいるときとは違い、読み終えた後は「人間って極限状態でも案外こんな感じなのかな」と妙に納得した。本格的に精神が壊れたりしてもおかしくないなか、自分の命がかかっているにもかかわらず、人の目を最後まで気にしつつ、調和を図ろうとしつつ、出る杭になることはなく必死に自分らしさを保ったまま過ごしていくのかもしれない

俺だったらこうはならないだろうな

などと思ったが、それは私が閉所恐怖症であり、無意識ながらもパニックに陥ることを想定しているからかもしれない

同じような状況で、私が地下要塞でパニックになったとしたらきっと誰の為にもならない。それこそ地獄絵図となるだろうから、そんな状態は今後も避けて通ろう。

読んだ小説 方舟

読んだ小説　　方舟