受講生の皆様、お疲れ様です。
今日は民法の演習を。
H20‐28
Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
- CはAが追認した後であっても、この売買契約を取り消すことができる。
- Bが未成年者である場合、Aがこの売買契約の追認を拒絶したならば、CはBに対して履行の請求をすることはできるが、損害賠償の請求をすることはできない。
- Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。
- Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した場合、共同相続人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。
- Cが相当の期間を定めてこの売買契約を追認するかどうかをAに対して回答するよう催告したが、Aからは期間中に回答がなかった場合、Aは追認を拒絶したものと推定される
これがH20年の問題です。いずれも基礎知識であり、正誤判断は難しくないはずです。
では、問題です。「 Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した。Bに共同相続人がいたとして、この契約が有効となるのはどんなとき?。」
はい、肢4に関する知識が理解出来ていれば秒殺ですね。答えは、レジュメを見ながら自力で作ってみてください。
いつも言っているように、過去問等を解くときに、テキストの力で解けるようになること。
択一問題が解けるから実力がある
とは必ずしも言えません。実力がなくても択一が解けることは良くあります。ましてや、繰り返し解いている問題ですと、このような基礎的なことが答えられなくてもなんとなく解ける、ということが起こってしまい、実力が不十分ながらスルーしてしまう、ということになってしまいますし、それを直前期に気づいてもキャッチアップは出来ません。
過去問は繰り返し出ます。しかし、形を変えて出ます。
H28‐28
Aが所有する甲土地につき、Aの長男BがAに無断で同人の代理人と称してCに売却した(以下「本件売買契約」という。)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
- Aが死亡してBが単独相続した場合、Bは本人の資格に基づいて本件売買契約につき追認を拒絶することができない。
- Bが死亡してAの妻DがAと共に共同相続した後、Aも死亡してDが相続するに至った場合、Dは本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶する余地はない。
- Aが本件売買契約につき追認を拒絶した後に死亡してBが単独相続した場合、Bは本件売買契約の追認を拒絶することができないため、本件売買契約は有効となる。
- Bが死亡してAが相続した場合、Aは本人の資格において本件売買契約の追認を拒絶することができるが、無権代理人の責任を免れることはできない。
- Aが死亡してBがAの妻Dと共に共同相続した場合、Dの追認がなければ本件売買契約は有効とならず、Bの相続分に相当する部分においても当然に有効となるものではない。
これが昨年の択一。ちなみに、先ほどの答えは肢5に関する知識が使えますね。ということは繰り返し、形を少しずつ変えて出されているということですし、少なくとも二問にわたり目を通している知識であるにも関わらず、答えられなかった方は今後の勉強に注意が必要です。
では、最後の問題。
H25‐問題45
Aは、Bに対し、Cの代理人であると偽り、Bとの間でCを売主とする売買契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。ところが、CはAの存在を知らなかったが、このたびBがA・B間で締結された本件契約に基づいてCに対して履行を求めてきたので、Cは、Bからその経緯を聞き、はじめてAの存在を知るに至った。他方、Bは、本件契約の締結時に、AをCの代理人であると信じ、また、そのように信じたことについて過失はなかった。Bは、本件契約を取り消さずに、本件契約に基づいて、Aに対して何らかの請求をしようと考えている。
このような状況で、AがCの代理人であることを証明することができないときに、Bは、Aに対して、どのような要件の下で(どのようなことがなかったときにおいて)、どのような請求をすることができるか。「Bは、Aに対して、」に続けて、下線部について、40字程度で記述しなさい(「Bは、Aに対して、」は、40字程度の字数には入らない)。
本問はH20‐28の肢2がきちんと押さえられていれば、満点は取れなくても半分程度は取れる問題のはず。
大事なことなので繰り返します。過去問は繰り返し出ます。しかし、形を変えて出されます。それに対応できるような勉強を進めましょう。
では今日はここまで。お疲れ様でした。