市民ZOOのメールニュースをブログで紹介することにしました。

せっかくなので?私のコメント入りです。

 

    

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市民ZOOネットワーク
メールニュース
2023年6月号
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市民ZOOネットワークは動物園の飼育動物一個体一個体のQOLを市民一人一人の手によって高めていけるような社会を目指しています。

▼スタッフより‥‥‥‥
こんにちは!

学生スタッフの山田倫太郎です!

先日、「人間がどうして昆虫が苦手なのか」を研究している先生とお話しする機会がありました。
近年、虫が嫌いな子どもが著しく増えているそうです。その現状は想像に難くないと思います。
都会に暮らしていると昆虫どころか土すら見ない環境で成長することも稀ではなく、昆虫に対する理解や耐性がなくなりそうです。

その先生は学校教育にも問題があると考えていて、チョウやアリなどの一般的な昆虫の形すら知らない子どもが増加しているそうです。
また小学校の先生から、「虫が苦手なので教科書に虫の写真を掲載するのをやめてほしい。教科書を開けない!」と、
苦情がくることもあるらしくとても驚きました。

そのためどのような教材で教育をしていけばいいのか、ARなどで技術的に解決できないかを議論したのですが、
そもそもなぜ子どもが昆虫や自然のことを学ぶべきなのでしょうか。

私は、人類、特に子どもは自然を学んだほうがよく、学ぶべき理由は大きく3つあると考えています。

1つは、我々が自然の中で自然と共に生きていることを思いだすことができる点です。
先述の通り、都会に暮らしていると人の生活があたかも人間が作り上げた社会の中で完結されていて、
自然の中で生きていることを忘れてしまいそうになります。
その現状が世界や身近なところで謳われている環境問題につながっている面もあると考えていて、
我々が自然の中で生きていることを認識することで、「なぜ自然を守らなければいけないか」を学ぶことができます。

2つ目の理由として、自然を学ぶことを通じて、子どもの好奇心を伸ばすことができる点です。

レイチェルカーソンが、「自然から学ぶ生命や感覚,興味,好奇心,謎はとても貴重なものである。」
「少しの時間でも自然環境をあじわった子どもの感性は豊かになるだろう。」という言葉を残しています。
自然は子どもの感性を豊かにする最高の教材なのかもしれません。
そのため、レイチェルカーソンは大人たちが子どもに自然を体験できる環境を与えてあげることの重要性を説いていますが、
現代の方がむしろそのような機会は減ってしまっているように感じます。

最後の理由としては、科学的に正しい自然との向き合い方を日本国民全体の常識にすることができる点です。
野生クマへの餌付け問題、外来生物の問題、感染症問題などは、
野生生物と向き合う際に科学的に正しい態度を理解していないことで広がってしまう問題だと考えています。
幼少期から自然について学ぶことで一種の「国民全体の自然リテラシー」を高めることにつながると考えます。

これら3つの理由は動物園が教育を大切にしている理由にも当てはめることができると思います。
動物園の展示やサインの裏には自然をなぜ学ぶのかという根底の理由があるはずで、その辺を意識すると面白いかもしれませんね。

私自身、動物園や自然観察センターが生き物を知り自然を知る最高の場所でした。
(反動で学校での生物の授業内容に魅力を感じなく、生物系の学問の道に進むことはなかったのですが…)
私にとってはそれらの施設も学校でした。
そのため、公立の学校で先生が虫が苦手だからという理由で虫や自然を教えたくないのなら、極端な話、
子どもたちに自然を教えるという責務を全て動物園が担ってしまえばいいと思ってしまいます。

話は戻りますが、先ほど日本の自然教育をARなどの技術で解決できないかを議論したと書きました。
自然を知る媒体としてARは生で生き物を体感する動物園に(まだ)勝らないと思います。
ただ、ARを用いた教育を大衆に対して行ったとして、やり方によっては上記に挙げた環境問題、
自然リテラシーの低さなど自然に関わる問題の解決に全くつながらないわけではないと思います。
デジタル化に伴い、子どもの価値観が急速に変わっていることを示している研究もそのやり方の検討に関わってきそうです。

自然を学ぶ、教える目的を考えると動物園が教育を大切にしている理由に結びつきました。
自然を学ぶべき理由を3つ挙げましたが、まだ他にもあると思います。皆さんが考える理由はなんでしょうか。
 

 

少し前にこのような話題もありましたね

 

 

動物園でたまに、くさい・きもい等々おっしゃているのを聞くこともありますが

生き物の魅力に気がつけないことは残念だなと思います。

 

ブロンクス動物園にも掲げられている有名な言葉ですが

“In the end we will conserve only what we love. We will love only what we understand. We will understand only what we are taught.”

 

簡単に訳すと、

私たちは愛するものだけ守る、私たちは理解したものだけ愛し

教えられたことだけ理解する

 

みたいな感じでしょうか。

気持ち悪い、怖い、と思ってしまうのはその生き物のことを

知らないから愛せないというところはあるのじゃないかなと思っています。

 

またここにでてくる「愛する」というのは

単に「可愛い」「きれい」と思うことではないと思っています。

 

太宰さんの本にでてくる一部に

カルチベートという言葉があります。

 

勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記していることでなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、必ずむごいエゴイストだ。学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!(後略)」

 

 

 

知ることは心を広くもつこと、愛するということを知ること、

このカルチベートされるという感覚は

レイチェルカーソンさんが、

「少しの時間でも自然環境をあじわった子どもの感性は豊かになるだろう。」と

おっしゃったことに似ているのではないかなと思っています。

 

動物園・水族館でつかみ取ったものは知識としては忘れてしまっても

子どもたちを豊かにしているのではないでしょうか。

 

 

 

エンリッチメント大賞2023、募集中です! 応募締め切りまもなく!

探してください、動物たちの豊かな暮らしのためのアイディア
—動物園・水族館で見つけた環境エンリッチメントをご応募ください—

4月15日から、22回目となるエンリッチメント大賞2023の応募を受け付けております。
http://www.zoo-net.org/enrichment/award/2023/

動物園や水族館で環境エンリッチメントの取り組みを探すことは、動物の生態や行動への理解を深めることにもつながります。
エンリッチメント大賞への応募を通じて、お気に入りの動物をもっと理解してみませんか?
たくさんのご応募をお待ちしています。

※エンリッチメント大賞2023は(公社)日本動物園水族館協会の後援を受けています。

○募集期間
2023年4月15日(土)〜6月15日(木)(当日必着)
※募集期間にご注意ください。

○応募について
動物園や水族館での動物たちの暮らしを豊かにしていると思われる取り組みをご応募ください。
園館関係者の皆さまからの推薦もお待ちしています。複数の応募も大歓迎です。応募フォームからご応募ください。
http://zoo-net.org/enrichment/award/2023/form.html
※応募の詳細や注意事項については、募集要項をお読みください。

○表彰
動物たちの生活がより豊かになり、エンリッチメントや動物たちの暮らしについて来園者の理解が進むような取り組みや施設について選考し、
「大賞」「正田賞」「その他各賞」をそれぞれの基準で評価し選定します。
発表は【2023年10月ごろ】を予定しています。

表彰式ならびに受賞者による記念講演は12月9日(土)に東京大学弥生講堂で開催予定です。
社会情勢によっては、会場の変更や、オンライン開催、または実地とオンラインのハイブリッド開催などの可能性もあります。

詳細は、http://www.zoo-net.org/enrichment/award/2023/ をご覧ください。


■「エンリッチメント大賞2022表彰式・受賞者講演会」
 オンライン開催のご報告とYouTubeでのアーカイブ配信のご案内

2022年12月3日(土)に「エンリッチメント大賞2022表彰式・受賞者講演会」を開催しました。
講演会のようすは引き続きYouTubeでアーカイブ配信しております。
審査委員の川端裕人さんによるトーク「エンリッチメント大賞レビュー2022」と、大賞・努力賞・正田賞を受賞された皆さまによる受賞者講演の計4編を公開しています。
当日お越しになれなかった方、もう一度講演を聞きたい方は、以下のURLよりご視聴ください。

★市民ZOOネットワークチャンネル★
https://www.youtube.com/channel/UClYn_MSOvm7q1vxkKt6dEqA

【主催】NPO法人 市民ZOOネットワーク エンリッチメント大賞2022表彰式・受賞者講演会 実行委員会
【後援】公益社団法人日本動物園水族館協会
【問い合わせ先】市民ZOOネットワーク
TEL:03-3395-8568 e-mail:info@zoo-net.org

 

 

エンリッチメント大賞に応募したら良いことあるん??(・ᴥ・)

まとめてみました。

 

ぜひぜひご応募お待ちしております!!

 

    

‥‥研究会&イベント情報‥‥

 

 

▼クロストーク情報‥‥‥‥

【市民ZOOネットワークCROSS×TALK】
「〜ダブル本田が語る〜 動物園の動物福祉をデザインする」

今回はニューヨークから本田公夫さん、北海道から本田直也さんをお招きするという豪華なクロストークを開催します。
前半はそれぞれお話し頂き、後半はクロストークでたっぷり語っていただきます。

日時:2023年6月4日(日) 16:00〜19:00 (開場15:30)
参加費:3000円

講師:
【本田公夫氏】
元 Wildlife Conservation Society 展示グラフィック部門スタジオマネージャー、
現The Maritime Aquarium at Norwalk 展示ディレクター臨時代理

欧米では動物園で動物を飼育展示することの正当性を疑問視する声が以前からあり、
日本でもそうした声が少し聞こえるようになってきました。
ではなぜ動物を展示するのか?どうしてこの動物なのか?福祉や保全は伝わっているのか?
「伝えるための施設」という面から日本の動物園・水族館の課題をお話しいただきます。

【本田直也氏】
(一社)野生生物生息域外保全センター 代表理事、本田ハビタットデザイン代表、札幌市円山動物園 客員研究員

動物を展示するにあたり福祉的に飼育できるかどうかは大きな課題のひとつとなります。
福祉評価の重要性とその裏に孕む危険性等を述べたうえでこれからどのように動物福祉を運営や組織やシステムに落とし込むのか、
今の動物園、水族館におこっている問題点とこれからの課題をお話しいただきます。

チケットはこちらから↓
https://kiringallery.thebase.in/items/73054148
☆チケットは完売しました☆
当日の録画がうまくいけばアーカイブを販売予定です。
販売が決まりましたら市民ZOOネットワークのFacebookページ等でお知らせいたします。


▼研究会&イベント情報‥‥‥‥

■盛岡市動物公園ZOOMOが人とニホンツキノワグマのよりよい共生環境をつくる取り組みとして、
 シリアスゲームを開発するための寄付集めをスタート!

盛岡市動物公園ZOOMOより、新たなクラウドファンディングの企画についてご紹介いただきました。

これまで“人、動物、環境(生態系)の健康は相互に関連していて一つである”という考え方「One World One Health」を事業理念に掲げ、
これまでさまざまな野生動植物をテーマにした自然体験プログラムや保全教育活動に力をいれ、
身近な野生動物と人とのより良い関係に向けた取り組みを続けてきた盛岡市動物公園ZOOMO。
昨今、人里におりてくるクマやそれによる被害についてのニュースが多く取り上げられるようになり、
人と距離が近くなったように感じられる「身近な動物」のクマ。盛岡市動物公園ZOOMOは、
このクマと人との共生に焦点を当て、よりよい共生を考える環境教育の手段としてシリアスゲームを開発するそうです。
そして現在、開発するだけでなく、より多くの人にこうした課題や盛岡市動物公園の取り組みについての認知拡大を目指し、
ゲームの開発費用をクラウドファンディングで募っています。

期間:2023年5月10日(水)〜6月30日(金)
目標金額:220万円
詳細は以下のページをご覧ください。
URL:https://readyfor.jp/projects/zoomo-bear


■ワイルドライフカレッジ2023

「1年後の私は野生生物のために何かできるようになっている」を目指し、
1年を通して野生生物の保全を考える“ワイルドライフカレッジ2023”を開講します。
今年のテーマは「市民活動の視点から野生生物保全の理論を学ぶ」。
現在6月に実施する前期ウェビナーの募集中です。ぜひご参加ください!

募集期間:2021年5月12日〜7月31日(録画視聴可能)
開講日:2023年6月 各水曜日(20:00〜21:30)
主催:野生生物保全論研究会(JWCS)
詳細・申込:https://www.jwcs.org/event/2655/


■中村元の超水族館大阪ナイト2023年 『水族館は 未来を救える!』

日時:2023年7月16日(日)  18:00〜(開場17:30)
開催場所:ギャラリーカフェ kirin(大阪)
参加費:3000円
講師:中村 元(水族館プロデューサー)
第一幕 『SDGsと水族館』
第二幕 『日本の世界観を誇れ!』
詳細は下記チケットページをご覧下さい
チケット発売は6月6日(火) 20:00〜です。
https://kiringallery.thebase.in/items/74857044

 

クロストークは明日!

とても楽しみです(・ᴥ・)✨

うまくいけばアーカイブ見ていただけます。

ごゆるりお待ちください。

 

■ワイルドライフカレッジ2023

 

 

「1年後の私は野生生物のために何かできるようになっている」という

コピーが良いですね。何かできるようになりたい!と思っていても

どうして良いのかわからない!というかたは多いのではないでしょうか?

そんなかたは是非参加されてみてはいかがでしょう。

 

■中村元の超水族館大阪ナイト2023年 『水族館は 未来を救える!』

 

どどんと!今年で7回目の大阪ナイトです。

マツコさん効果もあってに注目度UPの中村さんのお話

是非聞きにいらしてくださいね。

 

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緑のきれいな季節となりました!

6月の動物園を楽しみましょう(・ᴥ・)✨