焼き鳥と姉 3(終) | 白金家の座談会

白金家の座談会

ブログはもうほとんど書いてません。
現在は「小説家になろう」で活動してますので、新作が読みたい人はお手数ですが向こうで私の名前を探してみてください。
サイト中段のアンケートは時折覗きに行きます。

 焼き鳥屋の裏の和室で俺と愛理姉は休ませてもらえることになった。店は閉まるが、千秋さんがいる限りここは大丈夫である。すっかり落ち込んでしまった愛理姉を慰めていると、千秋さんがカルピスとコーラをそれぞれコップに入れて持ってきてくれた。
「夜遅くに来るなんて大した根性してるな」
「結構近いと思ったんですけど……遠かったですね」
「いつもはお姉ちゃんの車に乗っていたからね」
 カルピスを飲んで愛理姉は少し機嫌が直ったようだ。今度は取られないぞと言わんばかりに俺の腕をとり、ぎゅっと離そうとしない。愛理姉の方に体を倒すと、少し嬉しそうに顔をすりよせてきた。
「将君はお姉ちゃんの物だからねぇ」
「……将。クリスマスにあそこまでしておいて私を置いていくのか?」
「は、はえ?」
 千秋さんが少し恥ずかしそうにそう言った後、愛理姉とは反対側に座って腕を取った。愛理姉はなんとか掴んでいるようだが、千秋さんはがっしりと固定してくる。この状況をなんとかしたいと思ってもなんとか出来ない。
 汗が染み着いた服からは少しながら千秋さんの匂いが漂ってくる。炭臭くはなっていたものの、それがかえって彼女の力強さを感じさせる。反対側の愛理姉からは、シャンプーの匂いだろうか、ふんわりとした花の匂いが漂ってきた。
 二人に掴まれたまま俺はごろんと畳の床に倒れ、両脇から豊かな胸のアプローチを受ける。うぐ、どちらも甲乙つけがたい。
「……ははぁん。将はこうされるのが好きなんだなぁ」
 千秋さんが急に意地悪そうな口調で言った。思い切り図星を付かれてしまい、額を冷や汗がつつーっと伝う。ちらと千秋さんの方に目を向けた時、ラインが露わになっている胸の方につい、つい視線が行ってしまった。それを見事に千秋さんに目撃されてしまい、目で殺しに来るような眼光が俺を捕える。
「ほうほう。こんな状況になっても胸が好きのか、将?」
「将君ってそんな変態さんだったの!?」
「ち、違う!」
「そうかそうかそうか。果たしてそれは本当なのかな?」
 涙目になった愛理姉と勝利したような笑みを浮かべる千秋さん。マジ勘弁してください。いろいろ持ちません。
 二つの肉の間に挟まれたねぎの如く、俺はどうにもすることが出来なかった。



 朝になった。
 千秋さんは俺の左手を全身で捕まえたまま起きる気配がない。右隣の愛理姉も同じく。寝ぼけた頭でいろいろもがいていると、左手が何やら柔らかい場所に当たった。低い位置にあるから胸ではないだろう。これは……
「……将、そこはぁっ」
 千秋さんが目を覚まし、少し息を荒くして言った。んー、千秋さんの大事なものが置いてあったのだろうか。でも左手動かさないと俺が動けん。千秋さん、すいません。何か大切なものだったら後で元に戻しておきます。
「あぁ、だから、そこをぉ、触るなぁぁ」
 扇情的な彼女の媚声が左耳をくすぐる。いい加減目を覚まさないとまずいだろうなと目をぱっちり開けると、千秋さんが俺の左手を股の間に挟んで悶えていた。股の間でやわらかい場所とは……む。
「……あれ?」
「あれ、じゃないぞ将」
 千秋さんが背中にゴゴゴゴという文字を浮かせながら俺の左腕を地面に押さえつけた。う、動けん。こうなったら右腕を動かさなければ。でもこの右手が掴んでる柔らかい物をまず避けないと。えーっと、これは……うぇ。
「やぁ……そこ敏感になってるのぉ」
 見事に愛理姉の胸をわしづかみにしていた。一瞬右手が天国だと思った自分を殺したい。ああもうそりゃ殺したい。そう思っていると、じゃあ代わりに殺してやろうと言いたげな千秋さんが俺の上にまたがった。
「ジャージだからお前が触っていたのはよぉくわかったからな。後はこれを百合に報告してやろう。そうだ、お前にはやられっぱなしだったからなぁ」
 千秋さんの顔が迫ってきた。そして、床に固定されたままいじめられました。

 家に帰った後、百合姉に追い詰められて同じことをされました。はい。