日昇上人をしのぶ
日昇上人は、満九か年の御在任時代、またその以前から、終戦前後のもっとも多難な時代のなかで、宗門の発展に苦心なさってこられた方である。
私とは、ひじょうに深い関係にあり、それは、上人が宗務総監在任のころからである。日昇上人は、たいへんやさしい方で、まったく難のない円満高徳の方であった。とつぜん御遷化なさったが、そのまえから、私が登山するのをお待ちになり、楽しみにしておられたというが……。
私がおたずね申し上げた時は、すでに御病床にあり、目を開いて私を御覧になられた。今、日昇上人を失うことはひじょうな悲しみであるが、しかし、学会が本来の目的を達してこそ、猊下の御恩に報いる道であると思う。
昭和32年10月16日
水谷日昇上人御密葬
総本山大石寺理境坊