東洋は諸君を待っている

 

 東洋一を誇るこの会場で、このなごやかな会があるのに、いまごろは、石橋湛山先生はさぞお忙しいことであろうと思う。驚いたことには、大臣の分取り戦、自界叛逆難の姿は、自民党に明らかに見え、じつにあわれなものである。このことは、日蓮大聖人様御在世の時の北条幕府の姿によく似ているではないか。

 

 そのことは、ひとり自民党だけではなく、社会党もそうです。日本の政界がこのようであって、どうして東西両陣営のなかにはさまって、満足な政治がとれるとは、私には思えない。

 

 日本の国は、じつにあぶない場所にいるのである。いつの日か東西両陣営の衝突があるならば、日本は焦土と化すことは明らかです。

 

 ここに、さきほど、北条主任参謀から話があった第三勢力、世界的な第三勢力の起こるゆえんがあるのである。ハンガリーの今後の問題などは、じつにかわいそうでたまらない。彼の民衆はどれほど苦しんで、われわれの今日の平和な生活からみたならば、じつに悲惨きわまるものである。日本の国をして、絶対にああしてはならないと、私は思う。

 

 今、世界の平和に努力しているインドの国は、それほど強国というわけにはいかない。民衆の学問といい、経済力といい、また、彼らの軍備といい、じつにあわれという以外にはないのである。ただ、ネール氏その人と、その側近の人物によって、世界のかけ橋という位置に立っておられるのである。

 

 しかるに、日本民族は、東洋に誇る民族なのである。その証拠として、最近の日本の経済復興をごらんなさい。たいしたものである。これだけ、東洋の、ほんとうにりっぱな民族であるという証拠である。このりっぱな民族でありながら、日本の政治の貧困というものは、まさに悲しむべきものである。

 

 さきほど、北条主任参謀が言われたように、東洋に、第三勢力の中心として立つべき民族と言うのは日本である。東洋は日本を待っているというが、ほんとうに待っている。

 

 この日本の推進力となるのは、青年の力に待つ以外にない。この青年に、確固たる思想がない。というて、われわれは、共産主義になるというわけにはいかない。利潤追求のアメリカの思想だけでいいというわけにはいかない。どうしても、それ以上の、その根底をなす思想のうえに立っていなければならない。それは生命哲学である。

 

 この生命哲学のうえに、がっちり立つならば、けんか、あるいは自界叛逆難、そんなことはだめだということがすぐわかるはずです。戦争なんか絶対にしないと、はっきり言えるはずです。この確固不動の精神があってこそ、軍備もいらないと言いきれるのである。戦後の軍備はいらないはずなのです。

 

 そこで、その確固不動の思想を把握していくのが青年なのである。その青年の中心となっていくものが、ここに集まった二万の青年である。

 あなた方こそ、日本の青年を指導する指導者です。この確信のうえに立って、信心を強盛に、教学を身につけ、からだを丈夫にして、自分の商売に熱心に励み、模範的青年として、今後暮らしていってほしいと願って、私の講演にかえる。

 

昭和31年12月23日

男子青年部第五回総会

東京都体育館