五十万世帯の完遂

 

 学会の底力、また、皆さまが、まじめに組座談会を遂行した効果が現われ、五万八千世帯という、たいした折伏成果をあげたということは、さぞかし日蓮大聖人様もお喜びのことと思っております。

 

 顧みれば、ことしは、ずいぶん仕事をしてきた。すなわち、五十万世帯の完遂。また、総本山の坊は四つ、新寺建立は三寺、古い寺の再建が二か寺、そのほか、修理を差し上げた寺は数か所ございます。また、広宣流布への礎である参院選にも、思うぞんぶんの闘争をいたしました。

 

 顧みると、ことしは遺憾がなかっただろうと思います。来年も同じく、自分たちの信仰のうえに立って、来年の目標を完遂して、たえず、凡夫にほめられるのではなくて、仏さまにほめられる境涯になろうではありませんか。

 

 次に、これは、仙台で話したことですが、今から五年前だそうです。仙台の支部総会にまいりました時に、みすぼらしい男がひとりきまして『先生、妻と別れようと思う』と言うのです。自分には満足な収入もない。この人は四人の子供がいて、その妻は夜は中華ソバを売っている。だが、どうも妻がうるさいから、別れてしまうという。そこで私は本人に言ったのです。『あなたのようなバカは世の中にいない。妻と思うから腹が立つけれども、あなたが妻を追い出して、家政婦を雇うとすると、四人の子供を育てて、そして夜、中華ソバを売ってくれる家政婦が月一万円でくるでしょうかね。家政婦だと思ったら、こんなもったいない家政婦はないですよ。こんなもったいない者を追い出しては、たまったものではないですね。ですから、家政婦だと思うて、三月に一度や半年に一度は、着物など買ってやったらどうだ』と言ったのです。私はたえず、この人はどうなったかと気にしておりました。

 ところがです。今度行ったら、地区部長になって、りっぱな洋服を着て、開会の辞をやっていた。まったく驚きました。しかも、ソバは仙台で、いちばん売れるというのです。

 

 御本尊様の功徳はこのようだから、あなた方が、今、そうであるかないか知らないが、おおいにがんばって、あれがあんなふうになったかと言われるようになってもらいたいと思う。それが私の願いなのです。ことし、なれなくても、来年はゆっくり、落ち着いて、あわてずに、そして、急いでやりなさい。

 

昭和31年12月21日

本部幹部会

豊島公会堂