折伏は地元でやれる
今から三年前に、全国に拠点をつくろうとして、初めて地方折伏の壮挙が行なわれました。これというのは、立正佼成会が、東京近在において本部主義を図っていて、あれを全国へ伸ばしては、邪教の進出をたやすくする恐れがあるというので、地方拠点の確立にかかった。おかげで、学会の地方における拠点は、じつに堅実にでき上がっています。
その大きな日本的構想のもとに、地方へと拠点をつくるのに努力したのを、これを各支部で真似をしたということです。それを地区が真似をし、それを班が真似をした。それで皆、地方へ、地方へと進出しはじめた。
それで、東京のほうは、折伏ができないと、あきらめたみたいになってしまった。都内では、さっぱり折伏成果があがらないという現状になってしまった。それというのも、座談会が一律平等である。班長はベラベラと話している。体験談というと、同じ体験談ばかり話している。まあそれでは、だれでも座談会には集まる気にもならないというので、東京は、これでやめたみたいになっていた。
ところが、このたび、大阪で、先月は九千世帯、今月は一万一千世帯、どうですか皆さん!このことをみて、東京そのほかは目を回してしまった。なかには、支部で候といっても、とても数にならないところもある。岡山の地区などは、地区で九百世帯なのです。どこかの支部などは恥ずかしいみたいです。
これを考えてみるときに、やはり東京は、まだまだ人間がいるのですから、座談会を主力にしてやろうという方針になり、東京もその意気に燃え上がってきたところが、案外多くできた。そして、東京で多くできるということに気のついた幹部がそうとう出てきた。
そして、金をかけて、地方へわざわざ行かなくてもいいでしょう。
だから、東京では、まだまだやれるのです。座談会に、新しい人を連れてくるということを忘れていた。同じ顔の人が集まり、そして同じ話をするということが多かった。新しい人が集まらない座談会なら『日本男子の歌』でも景気よく歌って帰ることにしてはどうか。しかも、今は広宣流布近しの時期ですから、信心するようになっているのですから。
新しい人を救ってやるのです。このあいだも話をしたのですが、私は地方へ出てみまして、広宣流布が近いとしみじみと感じたのです。その一つには、交通機関がひじょうに発達したということです。電信、電話の、あの発達です。これが、広宣流布の証拠のひとつですよ。もし、われわれが徳川時代に、北海道へ折伏に行けばどうなるだろうか。おそらく一か月も歩いて行って折伏せねばならないと思う。
ちょうど今、九州まで行って折伏するのもたいへんなことです。しかし、飛行機を使えば、朝行って晩帰れる。ちょうど、江戸じゅうを折伏する力で、昔の東京を折伏する力で、全国を折伏できるのです。これが、広宣流布が近しとする証拠の一つと、私はつくづく考えるのです。
その時がきているのですから、折伏などは、顔色を変えて、口からアワを飛ばしてやらずとも、困った人が多いのですから、救ってやろうという熱意さえあるならば、私は東京でもじゅうぶんできると思うのです。そして、大阪が伸びて、東京じゅうの支部が、大阪に負けて涼しい顔をしているのは、あまり景気のよい話ではないと思うが、どうですか。
広宣流布近し。それがために、今度の参議院選挙にも同志が立つのを、みんなで推薦するのですが、この推薦に際しても、けっして無理のないように、かつまた絶対に違反行為のないように。違反をしては相なりません。
公明選挙というものを立ててやっているのですから、違反をするということがあっては、まことにこまります。堂々と公明選挙で行なってほしい。
大阪の府警で捜査本部をつくって『学会はたしかに暴力行為をふるっているにちがいない』とこう思ったのです。そこで使うものがないから、去年と正月にあった古い事件を三つつなぎ合わせて作文して、青年部を引っぱってみたら、そこから何か出るにちがいないと思ったのです。
これらは選挙妨害する意図であろうとも思う。こちらをおどす意図と思うのです。そういう魔の手が働いたに違いないと私は断ずる。東京のあなた方も、熱心なあまり、あなた方のなかで法に反する人があれば、それはまた、あなた方に迷惑をかけますから、けっして法にそむかないように。
といったならば、協力者をつくるわけにはいかんではないですかと質問する人があるが、これはできるのです。親戚へ行って話をしたって、友だちに話をしても、これは選挙違反にはならないのですから。私のもっとも仲の良い友だちが参議院に出るのに、私が親や兄弟のところへ行って、なにも理屈でなく話をして、これがいったい、なんで違反になるだろうか。
このように、親戚、友人、知人のところへ行って言うのはいいが、知らない家へ行って、一軒一軒まわるなどというバカなことはしないでください。
親戚や知人や、ごく親しい友人にたのむのは、なにも選挙違反ではない。けっして無理はないでしょう。無理がなく、かつ効果あるように。くれぐれも選挙違反をしては相ならぬ。それだけは同じ心になって推薦されるかたがたに、私からお願いする。
昭和31年5月31日
本部幹部会
豊島公会堂