謗法払いの注意
皆さまの多大な御後援のもとに、大阪の関西本部ができ上がりました。それから蒲田支部の会館も話がそうとう進みました。お山の二つの坊も、ほとんど完成し、それから浜松、新潟のお寺も進行中で、大阪は、近いうちにできるようになりました。いろいろ、どうもありがとうございました。
ついて、間違いのないように、ひとつ言っておきたいことがある。それは十一月二十六日、かの毎日新聞に、千葉市公会堂で、法務省の公安調査庁長官の藤井という人が、学会の折伏行進は破防法にひっかかるとか、ひっかけるとかいう講演をしたということがでている。これは聞き捨てならぬもので、私としては断固たる態度でのぞむつもりである。
なぜかといいますと、これが事実なら、国家の役人たる者が、ことの事情をわからずに、そういうバカなことを言うからであります。また、破防法とは、国家の組織を破壊し、社会の秩序ある生活を、政治生活を破壊するものにたいして置いたものであります。とくに共産党を目的にしたのであって、共産党以外にこれを用いるなどということは絶対にないというのが立法されたときの精神であります。
われわれは、けっして社会の秩序を破壊しません。また、今の政治を破壊し、国家の政治を変えようと思ったことはない。天皇陛下を大事に思うし、願わくは、天皇陛下に、私一生涯のうちにりっぱな宮殿を日本じゅうの総意で、御普請して差し上げようという心ももっております。
それが、なんで国家の政治を破壊しようとする行為でしょうか。ただ学会が、新聞に暴力宗教とか、仏壇や神棚をこわしたとか、こういうことを書いてあるというにすぎないだけです。なにも焼いたことはないし、仏壇を焼かせたことはない。そういう嘘を書いて騒ぎたてる新聞こそ破防法で取り締まったほうがよい。もし、かりに仏壇を焼いたからといって、こんなことはないのだが、破防法にひっかかる、そんな話はありえない。そんなことをいったら、おやじがお茶わんをこわしてけんかしたら破防法ということになりかねない。記事がほんとうなら、今の役人は困ったものであります。
だが、これというのも、振り返ってわれわれは注意しなければならぬ。折伏の仕方、謗法払いの仕方に、こちらの欠点があるのではないかと思う。仏壇を焼くことはないでしょうが、ことは神棚だが、なにも神棚をこわさなくてもよいのです。あの上にあげてある社さえ取ればよい。社を取るのも、こっちが手助けをして取らないほうがよい。『あなたが取りなさい』と言って、『どうしても取らなければだめですか』『どうしてもだめです』と言って『どうしてもこれだけはこわせません』と言ったら『それでは、半年なり、三か月なりして、よく考えて、あなたが取れるようになったら信仰しなさい。それまでは御本尊様を差し上げられません』と言って別れたほうがいい。
それをしつこく『あなたが取らなければおれが取ってやる』しかも勇ましいのになると『どうだ、このとおりだぞ』などとやる。そういう指導はしないでください。ひどいのは、ご主人の承諾なくして奥さんにやらせたり、それが夫婦げんかになり、御本尊様を焼いてしまう。そんなにまでして折伏して、御本尊様を、そまつにしてはもったいないと思います。そのところを注意してほしい。また、身延などのニセのものを持って『これだけは先祖から伝わっているので焼けない』と言ったら『それなら御本尊様をあげられない、それでよいなら大事にとっておきなさい』と、ぽんと、蹴って帰ったほうがよい。そうすれば、かえって自分で不幸になっていくものだから、そんなものはなにもならないから、自分で焼いて御本尊様を受けようと決心する。それが順当な謗法払いである。
もうひとつは、嘘かほんとうか、位ハイを焼かしている者があるそうだという話があるが、気をつけるように。ただ、霊友会や立正佼成会などの位ハイは、拝む当体だから処置すればよい。神として、仏として拝む。その当体だけを焼くのです。神棚など、社はよいが、中身が悪いのです。棚まで憎むことはない。『坊主憎けりゃけさまで憎い』などと、そんなことはしないでもらいたい。神棚はとっておけばよい。いままでは、へんちくりんな神さまがすわっていたのだが、本でも置けばよいし、おしめでも置けるし、便利このうえもないものだから、棚はこわす必要はない。これだけは、ほんとうに、よく注意してください。
昭和30年11月30日
本部幹部会
豊島公会堂