仏天の加護
思うに、今すぐそういう事件が起こるとは考えられないが、東のアメリカにも西のソ連にも、原子爆弾がある。
この原子爆弾が、いつ、ものを言うかということは、われわれのもっとも心配するところである。
これが、平和産業のためにのみ使われるならば、なにも心配することはないけれども、もし、両国ともに争う時があるとするならば、われわれの住家には、必ず、原子爆弾が落ちることは、覚悟しなければならない。
これは、口で言うことはやさしいけれども、一発ドカンときたときには、南無妙法蓮華経のナの字も言わないで、ぱーっといなくなってしまうのです。まことに気持ちの悪い話です。これが、絶対にこないとは絶対に言えない。
『だいじょうぶだよ、日本にはこないよ』などということは言えないでしょう。
さあ、しからば、それを落とさせていいであろうか。私は断じて、日本の国には、原子爆弾は降らしてはならないと思うのです。あるいは、政治の類、あるいは、外交の類、いろいろの努力をして、それを叫ぶことは、日本のもっとも大事なことではありましょうけれども、政治や外交でこれを逃れる道は、私はないと信ずる。
もし、これを逃れるには、仏天の加護なくしては、絶対に逃れられない。仏天の加護を受けるためには、絶対に、広宣流布をしていなければ、仏天の加護はないのです。ゆえに断じて、われわれ生命のあるかぎり、否、戸田城聖の生命のあるかぎり、断じて広宣流布をするつもりであります。
もって、日本の国の、百年の大計、否、何千年の平和の大計を立て、もって、日蓮大聖人様の御恩に報ずるとともに、民衆万年の幸福を確立することが、創価学会の使命である。
しかも、つらつら現在のようすを思うのに、ここ二十数年で広宣流布をしなければ、また、好機を失ってしまう恐れがある。断じて、ここ二十数年のうちに、たがいに心を一にして、日本国家万年の大計のために広宣流布をしようではないか。これをもって、私の決意を述べるとともに、講演にかえる。
昭和30年10月4日
堺支部第一回総会
愛泉高校講堂