女子部に与う

 

 あらゆる宗教団体は、日本国には数多くある。そのなかで、誇りをもって宗教活動をつづけるものは、わが創価学会であります。なにを誇りとなすものか。それは、目的観がはっきりしている。

 

 天理教にもせよ、あるいはまた既成宗教にもせよ、仏立宗、立正佼成会、数かぎりなくある宗教のなかで、目的観のはっきりしたものはない。いずれも、自分の宗派のために、自分のいうていることを種にして、営業するためにやっているという以外には、断じようがない。

 

 しかるに、わが創価学会は、目的観がはっきりしている。釈迦いらい、伝教いらい - これらは過去の宗教として、 末法の宗教として、日蓮大聖人様のご出現いらい、広宣流布ということが大目的となっている。

 これを完遂しようとしている宗教意識のうえに働いている団体は、わが創価学会ただひとつである。

 

 戸田城聖のためでもなければ、幹部のためでもなく、学会のためでもなく、ただ御本尊様のために、東洋広宣流布のために、いな世界のために、日本民衆に幸福を与えんとする大目的が、創価学会にあるのです。

 

 また、それに加えて、すばらしい学会としての特色は、東洋哲学を基礎としているということであります。いかに日本に宗教と称するものが二百あろうが、三百あろうが、わが学会ほど、真に透徹した東洋哲学に、仏教哲学にたっているのは、ぜったいにないのであります。哲学を基礎としていること、これが学会の強味である。

 

 また、世界の国に、宗教に対する教育というものが行なわれていない。とくに日本においては、文部省それ自体が宗教には手をつけていない。まことにバカな話しだと思うが、ここに日本の政治の劣等性があるのです。

 

 これに学会は、宗教学、すなわち世界最高の哲学を基礎として、民衆に幸福を与えるのであります。

 

 それは、わたくし一代ではできようとは思ってはいない。それも、ことごとく若きみなさんの力によってなさねばならぬと確信するのです。学会の強みは、なんといっても、青年によってささえられているので、みなさんの責任は、重かつ大であると思うのであります。

 

 いかなる事件にであうとも、いかなる事態に即しようとも、ただひとり立つということがだいじなのです。青年部は、男女二万の数があると思うが、この人々が、二万が立たねばならぬということではなく、一人、ただ一人立てばよい。ただ一人立つ確信をもって立つところにいっさいのしごとができあがるのです。

 

 むかしにかえってみれば、幾多の志士がありましょうとも、高杉晋作が、日本国中の軍勢を、ただ長州一か国に引き受けて、民衆陣頭の軍勢をこしらえて、かれ一人が立ったために、長州をして、いな日本をして、百年の栄冠をもたらしたのです。ただ一人です。

 

 例を他にとるならば、フランスでは、まさにつぶれんとするとき、かのジャンヌ・ダークが、白馬にまたがって登場したとき、フランスの敗戦をくいとめたのです。これも女であります。

 

 男にばかりまかせるのが、あなたがたのしごとではありません。もし広宣流布がくる、そのときになれば、国会というものが、ひとつの問題になる。これは御書にも、『勅宣並びに御教書』とあるが、御教書とは、国会の賛成が御教書となる。

 

 女性が賛成してくれれば、男の連中はかまわんでも、衆議院ができてしまう。先ほどの参政権の話しがありましたが、婦人でも投票の権利はある。『男はみなだめ! わたくしたち女でやります!』どうだ、景気がいいではないか。この決意で、あなたがたの一人が、二人がたてばよい。

 

『みなさん……』などと黄色い声を出さずとも、『わたくしたちだけでも、広宣流布しましょう。男の子はペケ……』そうなると、男の方でも―。

 

 あなたがたが、そうやるときは、子どもが生まれている。『おかあさん、それではぼくも』と賛成してくれる。また、おやじさんはいくじがないものだから ― みなさんの家庭をみてもよくわかるでしょう。『おかあさん、だれに投票しました? それではわたくしも投票しましょう』女の力でできる。尊きものは女なりです。

 

 わたくしも、前世はいろいろな事情がありまして、今世は男になって生まれてまいりました。それで今世は男として働こうと思います。しかし、法華経の法師品第十のなかに、『生まれんと欲する国に生まれる』とあるから、来世は女に生まれようと思う。しかし同じ女でも、希望とするところは、まず美人であることであります。

 

 女のくせにして化粧もせず、髪の毛もくしゃくしゃにして、そして鼻から油を出して……それはまずい。女としての条件は、頭がよい女で、スマートで、きりょうがよくて、世界的美人です。

 

 それで、もちろん、写真が売れると思う。そして、サインを求めるであろうが、信仰しないものには、けっしてサインをしてやらぬ。そうなると、必ず有名になると思いますから、朝鮮や、インドや、パキスタンの王様から、そのころは王様といわず、大統領とか、院長というだろうが、世界的美人であるから、必ず、そのときはわたくしに恋をしてくると思う。

 

 そのとき、わたくしはこうきく。『あなたの国には、日蓮正宗の寺がなん軒あるか?』『三十軒』『ああ、だめ』

『あなたの国には、日蓮正宗の寺がなん軒あるか?』『千軒』『しからば、ここで、接吻を一回だけやりましょう』

 そして、だれとも結婚いたしません。広宣流布のために、おおいに働こうと思いますから。そのときに、男性に生まれているならば、よろしくご後援願います。

 

昭和29年12月19日

女子青年部第二回総会

明大記念館講堂