人材を育て王者の境涯をもて

 

 富田君は、いままでじつによく働いた。まったく、見ていて涙ぐましいほど働きつづけたが、だれもこれについていかない。地区部長も、班長も、だれもいっしょにやろうというものがなかった。これを見ていたわたくしも、考えて考え抜いたが、こんどははっきり腹を実行に移した。

 

 わたくしは昔から小岩を愛してきた。いまもそうです。きょうから次男(石田)に支部旗を渡した。次男にやりたいほうだいのことをやらせる。だれもついてこなくてもよい。わたくしと次男と、ふたりで支部旗を握って立ちました。小岩にだれもいなくなって、わたくしと次男とふたりだけになってもかまいません。文京ではこんなことはいわなかった。しかし、小岩は事情が違う。常泉寺の門前に、ふたりが小岩の支部旗を握って立てば、それでよいのです。小岩は、きょうからそのつもりでいてもらいたい。

 

 小岩と反対に、いま隆々として栄えている蒲田では、人材がよく輩出している。いくら引き抜いても、まだ満ちあふれている。そして、支部内に功徳が充満している。

 

 これにひきかえ、小岩は貧乏人がたくさん集まっている。班長、地区部長諸君は、これを機会に、おおいにがんばって、金をもうけなさい。この際、今日の小岩をあらしめた功労者、和泉みよ夫人を、小岩支部の最高顧問としていただきたい。

 

 会長に答えんとするならば、蒲田のごとく人材を送りなさい。王者の境地を持って。これが、支部長更迭の腹がまえである。"小岩よ立て"この覚悟、決意、この情熱が、みなさんの胸に伝わらなかったならば、わたくしの弟子ではない。新支部長に愚痴をこぼしてはなりません。

 

昭和28年1月5日

小岩支部長交替式

日蓮正宗向島常泉寺