御書出版事業を終えて

 

 今度の事業は、じつにたいへんだった。まかり間違えば、宗門の名誉、学会の名誉、盛衰にまでひびいてくることを思いながら、必ず完成してみせる確信だけは、終始不変だった。

 

 いろんな難関は、覚悟の前だが、宗門の援助がえられぬと決定したときは、胸にわき上がるものがあった。しかし、堀猊下おひとりのお力をいただいて完成でき、ただ、もったいないという以外、お礼申しあげるベきことばを知らぬ。

 

 印刷所の選定も、人知れぬ苦労があったし、なによりも期日のないこと、それから資金の点等々、むり押しも、一般会員や、教学部員の努力で、乗りきることができた。

 

 身延の出版を聞いてみたら、二、三冊に分割して出すとのこと。しかも、まだできていないし、完全にこちらの勝利で、しかも、記念祭に、ついに間に合ったのは、なによりうれしい。

 

 教学部の諸君は、じつによくやってくれて、学会教学の実力を示したのは、なにより誇りに思っている。

 

昭和27年4月20日

御書完成のとき

神田旧学会本部