高利貸しに家を取られる
【問】 高利貸しに金を借りて、家を取られてしまいました。もう、期日もせまって、明け渡さなければならな
いのですけれども、どういう心掛けでいたらよいでしょうか。
【答】 こういう問題は、ひじょうに複そうしていると思うのです。いま、ここでかんたんなことを聞いて、か
んたんに返事をするわけには、私にはいかないのです。高利貸しに金を借りたと、ただそれだけでは、まだおか
しいです。借りるときの覚悟がないのです。それで返す気もなくて借りたのですか、いったい。なにゆえそのと
きに、印鑑証明や登記をしたのですか。いまになってから、どうしたらいいでしょうかではお釈迦さんでも困り
ます。まだいろいろ事情を聞いてみなくては、あなたの心境は私にはわかりません。だが、法律からいって、向
こうが押してきた以上には、戦う以外に道はありません。それでただ取られるというわけはないでしょう。居住
権、家はその人に取られても、わが身には居住権というものがあるではないですか。それを主張したらどうです。
そして、その家がたとえ百万円のものであるならば、居住権を主張して、三十万でも二十万でももらって、別な
家にすむか、いまの話だけならばただみすみす渡すべき理由はないでしょう。それも三年も二年も利息も払わず、
捨てておいて、いよいよ向こうが強腰になってきたときに、理くつをいうてもあいすまぬことです。
高利貸しに金を借りたいといっても、借りるときに利息の約束をして借りたはずなのですから、向こうが家を
取るつもりでやったのなら、これはまた別です。どこまでも対抗して、戦わねばなりません。
ですから、いま、あなたのような単純な質問で、私も単純に答えては、後で誤りが起こりますから、よくよく
そこは法律に照らして考えておやりになったらよかろうと思います。
いつ信仰なさったか知りませんけれども、かならず仏天の加護もあることですから、その家がなくなっても、
良い家ができないとはかぎりません。今度は信心の問題になります。最初の質問は国法の問題です。後の私の答
えは、信心の問題です。ここは、仏天の加護があるということは、日蓮大聖人のお約束なのです。普通なら、た
だ取られてしまうところを、ただ取られない方法も、そこになにか残っていると思います。人に聞くまでもあり
ません、御本尊様に訴えぬいて、そして、あいている道を求めなさい。