親が信心しない

 

【問】親が信心しませんが、どうしたらよいでしょうか。

 

【答】 それは妙荘厳王品という経文があります。妙荘厳王品というのは、おもしろい経文です。この経文には、

父親の妙荘厳王と母親の浄徳夫人と浄蔵、浄眼の兄弟の四人のことが説かれています。この四人のうち、父であ

る妙荘厳王だけ信心をしないのです。そこで、母と二人の兄弟でなんとか、父を信心させようと努力するのです。

 

ところで、この四人は、過去世に約束をしているのです。同志として四人が生活をしていたときに、三人は修行

に出て、一人だけは家に残って、家事いっさいを受けもったわけです。そして「自分は家事、身のまわりのこと

は、すべてやっていくから、三人で学んだことをあとで教えてもらいたい」と。四人はおたがいに協力しあって

修行に励みました。

 

 この四人は、一人は王となり、一人は后となり、あとの二人は子供として生まれあわせたのです。ところが父

だけ信心しない、実は過去世に修行に出ず家事を受け持っていたわけです。そして三は、父を信心させるため

に苦しんだり、悩んだり、相談したりする、この姿は過去世に修行に出た三人であって、いま「三人で学んだこ

とを教える」と約束したことを果たしている姿なのです。

 

 浄蔵、浄眼の兄弟は、父親である妙荘厳王を信心させるには、どうすればよいか、仏のところへ指導を受けに

いきました。そして、仏から「信心修行に励げみ、神通力を現じなさい」と教えられ、その通り実践して、つい

に父王を信心させることができたのです。神通力とは、いまでいえば、御本尊様を拝んで功徳を受けりっぱにな

ることです。

 

 あなたが、財産かせいで、ほんとうに親孝行ができたら、親があなたのいうことをきかないというわけがあり

ません。それを自分が親孝行もしないで、親に心配をかけて、へりくつばかりいっても、そんなことで親が信仰

するわけがありません。自分がまじめに信心して、功徳を受けて、そして親も感心させて、兄弟も救い、そうす

れば母親がいうことをきかないわけがないのです。

 

 それをりくつばかりで、いやこの信仰が正しいのだとか、いやまちがっているのだとか、なんだとかいって、

話してみたところで、相手が聞くわけがありません。自分のむすこの姿をみて、たいしたものではないと思って

いるのに、それで信仰しなさい、信仰しなさいといっても、だれのために信仰するのです。自分がまず成功する

のです。まじめに働いて、それから親に話すのです。聞かないわけはありません。絶対聞かないわけはないので

す、聞きます。わたしは、そういう確信です。わたしはぜんぶ、そうしてきました。