男の子が放浪ぐせ

 

【問】 十一歳になる男の子ですが、事情があって離れて生活しています。姑さんといっしょにいるのですが、

毎日出歩いて放浪ぐせがついてしまいました。私が登山しょうと決意したら、ここ二十日ぐらいは家にいるの

ですが、今後どのように信心していったらいいでしょうか。

 

【答】 いままで通りでいいのです。子供の将来というものは、いまだけみてもわからないものです。私は、長

く劣等児教育と優等児教育を、二十年間やってまいりましたが、その間、育てた子供は、もう最初のほうは五十

近くになっております。それで、その姿をいろいろみますれば、小学校の時あたりにいろいろの姿を出しており

ますけれども、親がまじめに信心したら、かならず軌道にのります。あせらずに信心しなさい。

 例をひとつ話してあげますが、これは皆さんの参考になることではないかと思います。けれども、私は昔、劣

等児教育をやったときに、ある家庭の次男坊ですけれども、これを教えたことがあります。ひじょうにしまつが

悪いのです。小学校六年で、たし算も引き算も知らないのです。もちろん、字などは知りません。それを中学校

へ入れてくれとたのまれたのです。明治学院へ入れましたが、いや、もう、しまつが悪いのです。時間中に、紙

をかんでは女の子にぶっつけたり、しかると弁解なんか少しもしません。きたなくて手が真黒なのです。どろん

こになっているのだから。よだれをつけて目をこするのです。そうすると泣いたみたいに見えてしまう。

 そのしまつの悪い子を、私は中学三年までやってきましたけれど、その子ひとりいると、どうにもならないの

です。それで考えました。ひじょうに機械に得手がある。それで、工業大学の浅川とかいいましたか、その博士

につけまして助手みたいにしてもらっているうちに、二十三、四になったときに訪ねてきました。りっぱな洋服

を着てしまって。それでどうしたのだといったら、いま、自動車会社の技師をやっているというのです。月給は

そのころでみんな小学校の校長先生がまだ八十円くらいの時だったのです。百何円ももらっていると聞きまし

た。

 だから変わるのです。いま私のもとにいるから、名前をいうと、あれなどといわれては、本人がおこるから

いいませんが、放浪ぐせがあって、家を飛びだして、どこへいったかわけがわからない、それを、何年間もそん

な生活をしていたのです。それで、きちんと私のところで落ち着いて、幹部になっています。だから、そうあわ

てずに、子供にも信心させ、あなたもまじめに信心していきなさい。そういう性質は、すぐなおるとはいえない

のです。だが、いつとはなしに軌道に乗るから、安心して、待っていらっしやい。