戸田城聖全集第四巻1965年発行

 

池田大作編

和光社刊

 

日蓮正宗第五十九世堀日亨上人と談笑される

ありし日の戸田先生(大石寺富士学林前で)

 

 

 

戸田先生の歌碑

日蓮正宗第六十五世堀米日淳上人の染筆により認め

られ,総本山大石寺大講堂前に昭和33年12月建立

 

妙法の広布の旅は遠けれど

共に励まし共々に征かなむ

 

日蓮正宗 法華講総講頭 創価学会々長

戸田城聖先生作

 

日淳

 

 

 

 

先に、初代会長牧口常三郎先生の全集を世に贈り出し、つづいて玆(ここ)に、恩師戸田城聖先生の遺され

た思想を、「戸田城聖全集」として、刊行し得たことは、重ね重ね、私の歓びとするところである。

戸田城聖先生は、末法今日における、折伏の大指導者であった。故に、東洋哲学の真髄たる日蓮大

聖人の仏法、すなわち色心不二の大生命哲学を、論文に、質問会に、指導会にその他、様々な機会に、

わかり易く現代的に、指導されたのである。

恩師戸田先生が逝去されたのは、昭和三十三年四月二日、時あたかも法華本門大講堂の慶祝総登山

の終わった直後であった。恩師は、いっさいの願業を成し遂げられ、霊山にかえられたのである。

当時、世人は、なかんずく宗教界は、戸田先生の死によって、創価学会は崩壊するであろうと、嘲

をもって見ていた。しかし、私を中心とする、学会の美事な団結は、それらの愚昧なる批判を、雲散

霧消させたのである。その団結の根底をなしたのが、戸田先生の思想であった。

私はかつて、恩師亡きあと、全学会人に、全民衆に、そして後世の人々に、正しい仏法のあり方と、

真実の学会精神の姿を、遺すことを期して、師の教えを単行本、レコード等に刊行した。それらが、

信心の糧となり、全学会人にどれ程の勇気と希望と確信を、与えてきたか計りしれない。現在に至る

も、戸田先生の思想は、学会人の信心の骨髄となって、脈々と生きつづけている。それあるがゆえに

こそ、学会は強靱であり、無限の未来性を有するのである。

玆(ここ)に、新ためて恩師の全思想を網羅し「戸田城聖全集」全五巻を出版し、後世の指針として伝えん

とするものである。内容は、巻頭言集、論文集、講演集、講義集、質問会集、その外、戸田先生を中

心とした座談会、小説人間革命、和歌、書簡等、また学習塾・時習学館当時の教材である指導算術等

が収録される。これらは、いずれも学会の指導の根底をなす思想であり、広宣流布達成への指導の根

本であり、原典ともいえる。マルクス・レーニンの全集が、唯物思想の根底となっているように、

「戸田城聖全集」は、色心不二生命哲学の思想全集である。

人間革命の思想、王仏冥合の思想等は、今や、われわれの、力強い実践によって、その証拠を示し

つつあり、日本民族ならびに世界人類の繁栄と平和のために、厳然と打ち樹てられようとしている。

本全集によって、学会人は、勿論のこと、真実の幸福を望む求道の士が、日蓮大聖人の仏法、創価

学会の指導理念を理解し、奮い立つことを確信して止まない。

 

昭和四十年九月二日 創価学会会長池田大作

 

 

 

質問会集・原版の辞

 

 恩師戸田先生の七回忌を前にして、質問会集を発刊できたことは、まことに喜びにたえない。

登山会における指導の重点は、質問会にあった。教学のこと、事業上の問題、あるいは病気のこと、家庭上の

悩み等、生活の万般にわたって力強い先生の指導を受け、それによって個人個人の成長がはかられ、学会発展の

偉大なる基盤が築かれたのであった。

本書はこうした本山における質問会を主体とし、一級講義、幹部会のあとで行なわれた質問会の分を含めて集

録したものである。

質問会集がほしいとの声は、早くからあったが、池田先生は、じっと時機を待っておられた。そのゆえは、も

っとも効果的に会員の指導に役立つようにとの、深いお考えからであったと思われる。

質問に対して戸田先生は、つねにその人の信心の厚薄、境遇等に応じ、一応に、再応に、また種々の角度から

答えておられる。したがって本書の内容をよく理解するためには、戸田先生のお心を知ることが肝要である。

それには池田先生の指導による以外にない。戸田先生を、本質的にもっともよく知っておられるのは、池田先

生である。いな、むしろ戸田先生の全精神は、池田先生にうつされているのである。

読者は、その点をよくわきまえ、本書の言々句々を、池田先生の指導を根本として的確に理解し、みずからの

修行と、後輩の指導の上に、最大限に活用されんことを、心より期待するものである。

 

昭和三十八年八月二日

創価学会理事長 原島宏治

 

 

質問会集・原版の序

 

このたび、恩師の七回忌を迎えるに当たって、質問会集を記念出版できえたことは、私ひとりのみの喜びでは

ないと信ずる。と同時に、恩師の遺された数々の指導が、巻頭言集、講演集、論文集、レコード等を含めて、こ

れで、漏れなく完成したことも、まず初めに、ご報告するしだいである。

この書は、戸田城聖先生が、七年にわたるあいだ、登山会の折に客殿で、あるいは御書講義終了後において、

あるいは幹部会において、あるいは青年の会合等において、私ども弟子の質問に答えられた、信行学推進の指導

理念なのである。

この質問会集を、よくよく玩味・熟読して、正しい信行に励み、ひとりもあまさず絶対の幸福生活をいとなま

れんことを祈ってやまない。

とくに、幹部諸氏は、大事な生命をあずかる指導者として、本書をとおして、決して間違いのない、学会精神

にのっとった後輩への指導をされんことを、心から切願するものである。

過去においては、仏法とは難解の代名詞とされており、まったく生活とは遊離し、まさに雲霧のごとき状態で

あった。しかるに学会においては、仏法を生活の源泉として、最高に人生の価値創造をしてゆく指導をしきって

いる。

宗教界のいずこに、その教義を生活に当てはめ、納得のゆくまで、質問のできる教団があるであろうか。かつ

また、具体的に、率直に、大胆に、確答をしてゆく宗団も、わが学会をおいて、絶対にありえない。

これ、師弟不二の原理を示し、言論の自由を湛えるものであり、民衆の仏法、真実の大宗教たるゆえんである

ことを、絶叫してやまない。

願わくは、恩師の一言一句を、一分も濁りなく、あやまちなく全幹部が会得し、実践指導に移されんことを、

私はふたたび切望するものである。

最後に一言することは、その時代背景、質問者の信心および宿命の状態等々により、一応、再応の答えがある

ことを考えて、もし分からぬような点があったならば、当時の情景をよく知っている、理事室、大幹部等に、お

聞き願いたいものである。

なお原稿収録にあたっては、理事長はじめ六人の副理事長に、また編集においては多田省吾君らに、ともに多

大なる援助を願ったことを感謝する。

 

昭和三十八年八月二日

創価学会会長池田大作

 

 

凡例

一、本書に収められた質問会集・その他は、戸田城聖先生在世中「聖教新聞」「大白蓮華」等に掲載されたものである。

質問会集は、昭和38年8月2日発刊の「質問会集」を原本とし、座談会は大白蓮華58号60号81号掲載のものを、和歌は聖

教新聞等に掲載されたものを、人間革命は昭和26年4月20日聖教新聞創刊号より昭和29年8月1日第133号、121回にわたる

連載のものを原本とし「戸田城聖全集」全五巻のうち第四巻として編集されたものである。

一、本書は、読みやすくするために、原文の意と文体をそこなわない程度に、当用漢字、新かなつかい、新送りがなになお

した。

一、日蓮大聖人の「御書」の引用は、創価学会版「新編日蓮大聖人御書全集」に拠り、原典のぺージ数を付した。

一、法華経の引用文は、日蓮正宗・大石寺第六十六世細井日達上人の編集による「真訓両読、妙法蓮華経並開結」大石寺版

に拠った。

一、巻末に人名(経文に説かれた仏、菩薩等の一部も含めた)、一般事項、仏教用語、書名、引用文等の索引を付した。