(3) 三種の法華経

 

ところで、法華経といえば、この妙法蓮華経 二十八品よりほかにはないものだと、人々は思っていますが、実は法華経には、正法の法華経、像法の法華経、末法の法華経という三種類の法華経があるのです。

仏法の流布には、時ということを考えないわけにはいきません。釈迦滅後千年を正法時代といい、その後の千年間を像法時代といい、この釈迦滅後二千年以後を末法時代といいます。

正法時代は釈迦に縁の深い衆生が、非常に多い時代で、像法時代は縁の浅い衆生が出てきた時代で、釈迦に全然緑のない衆生ばかり生れ釈迦の説いた仏法に、少しの功徳もなくなった時代を末法といいます。

 正法像法時代には、釈迦仏法に利益がありましたが、末法時代には釈迦の出世の本懐といわれる法華経二十八品にも利益はなくなり、ただ末法の御本仏日蓮大聖人の仏法にのみ、利益があるのであります。ましてや法華経よりずっと低級な、念仏とか、禅とか、真言などという教えは、全然お話にならない、根本的に功徳がないのです。功徳のない仏法かえって不幸にする仏法すなわち邪宗なのであります。

 

 正法の法華経と申しますのは、釈迦の出世の本懐である法華経二十八品です。像法の法華経というのは、天台の説いた摩阿止観であり、末法の法華経と申しますのは、末法御本仏であられる日蓮大聖人のお説き遊ばされた南無妙法蓮華経の七文字の法華経であります。このことを知らない邪宗日蓮宗のやからは、イナリや鬼子母神や帝釈天などの雑乱謗法物と一しよに、末法に全然縁のない釈迦仏像などを飾って、大きな誤りを犯しているのであります。

 

 仏法には三宝といいまして、仏の宝、法の宝、僧の宝が必らずなければならない。仏といっても、小乗教の仏、通教の仏、別教の仏、法華経迹門の仏、法華経本門文上の仏(五百塵点劫、の久遠実成の仏)、法華経本門文底の仏(久遠元初の御本仏、日蓮大聖人)の六種類があります。

小乗教の仏宝は丈六の釈迦という劣応身で、小乗の経教が法宝、阿難や迦葉が僧宝となる。法華経の迹門では、仏宝は始成の釈迦、法宝は法華経、僧宝は普賢、文殊菩薩となる。これにたいしてただ一つ日蓮大聖人の正法正義を承継する日蓮正宗では、法宝は三大秘法の南無妙法蓮華経、仏宝は全世界でただ一人、南無妙法蓮華経を弘められた、久遠元初自受用身たる御本仏日蓮大聖人、僧宝は大聖人の仏法を、正しく承継された御開山日興上人となっているのであります。

しかるに、邪宗日蓮宗の輩は、文上の釈迦を仏宝とし、法宝をば南無妙法蓮華経、僧宝をば日蓮大菩薩とし、人即法の法理を無視した邪説を唱え、仏法の根幹を誤るがゆえに、一切の法を誤り、功徳がないどころか大罰を招いているのが現状であります。

これ恐しき日本の仏法の乱れであります。