戸田城聖全集 第三巻 論文・講演編 (昭和五十八年一月二十六日 戸田城聖全集出版委員会)の「あとがき」から記録していきたい。

 

あとがき


 戸田城聖全集第三巻は「論文・講演編」である。
 論文は、昭和二十四年七月に刊行された「大白蓮華」創刊号の巻頭をかざった「生命論」から始まり、逝去される一か月半前に聖教新聞に掲載された「私の闘病八十日」までの、三十五編が収録されている。すべて大白蓮華と聖教新聞に掲載されたものである。
 すでに本全集第一巻に、大白蓮華の巻頭言と、大白蓮華創刊以前に価値創造等に掲載された論文が収録されているので、あわせ読まれることをお勧めしたい。


 内容的には、旧版の戸田城聖全集第一巻(昭和四十年九月、和光社刊)をもとにしたが、新たに価値論(牧口常三郎著・戸田城聖補訂、昭和二十八年十一月刊)のなかから「第六章生活指導原理としての価値論」を加えた。(本書三五三㌻の〔注〕参照)
 さらに、御書全集の「発刊の辞」をはじめ立正安国論、開目抄、観心本尊抄各講義の「序」や、折伏教典、価値論、小樽問答誌等合計八冊の書籍の発刊に際して寄稿されたものを、「発刊の辞」としてまとめて収録した。
 

 なお、旧全集の論文編のうち、「妙法蓮華経講義」は内容からみて、後日刊行される予定の本全集講義編に収録するのが妥当であるとの判断から、第三巻からは外した。同じく「勤行に際しての方便品・寿量品」(大白蓮華ニー号~二三号に掲載されたもの)は、後年発刊された「方便品・寿量品精義」(昭和三十三年二月、精文館刊。昭和三十七年五月に「講義」として和光社から再版)のもとになったものであり、当然のことながら内容的にはまったく重複している。そして同講義が本全集講義編に収録される予定なので、本全集から割愛した。


 講演は、本全集第三巻と第四巻に分けて収録される。第三巻には、昭和十六年から昭和二十七年までの、主として戦後、苦闘の再建期から会長就任を経て、折伏活動が軌道に乗り始める頃までの講演五十三編が掲載されている。いずれも、草創の息吹あふれる、烈々たる気迫のこもったものである。


 ただ残念なことには、当時の正確な記録が。聖教新聞や価値創造を除いては、ほとんど残っていないということである。そしてその聖教新聞等の報道が紙面のつごうもあって(発刊当初は旬刊二㌻建て)、詳細なものが少なく、戸田先生の講演も、やむなく要旨で終わっているのが実情である。


 戸田先生の講演集は、すでに上巻が昭和三十六年五月に、下巻が同年十二月に刊行され、さらに旧版戸田城聖全集第二巻(昭和四十年十月、和光社刊)として刊行されている。いずれも聖教新聞等からまとめたものであるが、本全集もそれらをもとにせざるをえず、したがってほとんどが要旨であることをご了解願いたい。また、ごくわずかであるが、補訂をさせていただいたものもある。さらに、読者の便を図るために、句読点等を適宜に施させていただいた。
 いずれにしても、本巻に収められた論文・講演から、それらを貫く戸田先生の、創価学会に永遠に流れ通わせねばならない広宣流布への大情熱と、強き強き学会精神を学びとっていただければ幸いである。
 

昭和五十八年一月二十六日
戸田城聖全集出版委員会