第五章 正宗の信者に

一、日蓮正宗と創價学会との関係


 折伏をうけて、座談会で入信決意した私たちは、お寺で御授戒をうけて御本尊様を拝愛し、めでたく日蓮正宗の信徒となったと同時に、学会の一員として、充実した組織のもとに、正しい指導をうけ、信心・折伏活動の第一歩をふみ出すことになる。

 
 しかし、初信者の中には、「日蓮正宗入信と同時に学会員となるのはどういうワケか」「家で独りで御本尊様を拝んでいるだけではなぜダメなのか」等の疑いを持つ人もある。また世間の無智の批判の中には、日蓮正宗における学会の存在を、あたかも邪宗身延と立正交成会との関係のように考え、学会は日蓮正宗の本山を喰い物にして、やがては一派独立の野望に燃えている新興宗教だというような、およそ誤認識も甚だしい考え方をするものがある。


 創価学会を論ずるには、初代会長牧口先生及び二代会長戸田先生を知り、先生のお言葉、御精神、御振舞を、心して拝さなければならない。
 戸田先生は学会再建いらい十四年間、先代会長牧口先生の御意志を受けつがれ、ひたすら大御本尊様への御奉公に身を捧げ、御本山をお守りする真心一筋に貫かれた。その粉骨砕身のお働きは、かねがね日昇上人様にも、日淳上人様にも、「戸田は決して一宗一派を開く者ではございません。ただ生命の続く限り御本山へ忠誠一途につくすのみであります」と言上しておられた通りの御振舞であられた。すなわち五重の搭はじめ総本山各坊、全国末寺の改築、奉安殿、本門大講堂の建立等々、その御供養のまことは数を知らず、すなわち日蓮正宗の良き檀那、大信者として、偉大な御一生を貫ぬかれたので
あり、「お前たちもこのようにせよ」と示されたのである。ここに創価学会と日蓮正宗との関係は自ら明白となろう。

 法華初心成仏抄(御書五五〇頁)に「……祈も又是くの如しよき師と・よき檀那と・よき法と此の三寄り合いて祈を成就し国土の大難をも払ふべき者なり……吉檀那とは貴人にもよらず賎人をもにくまず上にもよらず下をもいやしまず一切・人をば用いずして一切経の中に法華経を持たん人をば一切の人の中に吉人なりと仏は説給へり……」とお示しの吉檀那とは、実に戸田先生のことであり、先生の弟子としてつききり、吉檀那の列に連なり、御本尊様一筋にお仕え申しあげ、広宣流布の折伏行に身を挺してこそ、自らの宿命を打破し真の幸福生活を確立しうるのである。これが学会員の立場である。


 また、戸田会長先生は、「創価学会の歴史と確信」(大白蓮華第十七号)において、「創価学会の使命は実に重大であって創価学会の誕生には深い深い意義があったのである」とのベられ、燃ゆるがごとき大確信を吐露された中に、学会出現の不思議の因縁、その大目的を明され、四信五品抄の文を引かれて、仏法上こうした学会人の位のいかに高いかを示され、その福運を讃歎されている。


 釈尊の予言は、もったいなくも日蓮大聖人様の御出現によって実証され、日蓮大聖人様の御命令は、戸田会長先生の出現、すなわち創価学会の活動によって虚妄でなくなるのである。戸田先生が逝去された今日、生命の続く限り御本山への忠誠をつくされた御心をうけつぎ、先生の御遺命を虚妄ならしめぬよう、ただひたすら広布実現を目指して折伏に邁進し功徳の大海に遊戯し、創価学会の大精神に生きぬくのが真の日蓮正宗の信者であり、かつ宗祖日蓮大聖人の真の御弟子なのである。