戸田城聖全集質問会編 115 天変地異が起こるわけ

 

〔質問〕 よく座談会で、いまの時代は末法濁悪の世といい、人を三毒強盛の衆生と申します。だから天変地異が起こるとも申します。なぜでしょうか。

 

 いまの人は災害が起きた場合、たとえば天井が落ちて人が死んだとき、天井が落ちたから死んだという。仏法では、逆に悪い人間がいたから天井が落ちたと説明するのです。善根のある者がいるなら、たとえ落ちる天井があっても落ちない。九州の水害にしても、そういう人たちが多く集まっていたから起きたといわざるをえません。命の浄と悪とは、外界に対応するのです。逆に科学では、外界物象がわれわれの生命に対応すると説明づけます。

 天台大師の兄はひじょうに病弱であった。天台は兄に向かって「頭の上に熟酥味(じゅくそみ)を乗せているものと思え。熟酥味がとけて体中にしみこみ、体内からでて室中いっぱいになる。すると体が温かくなってくる。これを毎日二、三時間やりなさい。あなたの病気もなおります」といったそうです。

 心に思うこと自体が肉体を動かす。でなかったら死にかけた病人が生き返ったりするわけがありません。熟酥味がなんであるかを天台は知っていたが、ただ「それは南無妙法蓮華経である」という資格がなかったのです。