戸田城聖全集質問会編 74 なぜ神札はいけないか

 

〔質問〕 御本尊を受けて、ほかに神札とかお守りを持ってはいけないのは、なぜですか。

 

 これはいちばん大事なところです。神札とかお守りには、邪鬼といいまして、その紙によこしまな鬼の力がこもっているのです。

 紙には天照大神と書いてあります。だがその紙に天照大神がいるならいいのです。天照大神がおりますならば、この大御本尊様のために働きますから、ほんとうの天照大神です。

 ところが書かれた紙には、天照大神の力がなく、人を不幸にする力があります。たとえていえば、次のようになります。コップの水は清らかな水です。大御本尊様と同じとします。ここに仁丹が一粒あります。仁丹だからいいけれども、これを汚物だとします。これをちょっと、ほうり込む。そうするとこの水はどうなりましょう。少ないからいいではないかといえますか。汚物の粒を入れたのです。にごった水になって、功徳どころでなくて害になりまし上う。

このなかにバイキンなんかはいっていたら、なおたいへんなことになるでしょう。

 ですから、ちょうど、天照大神という神札のなかには邪神邪鬼の命がはいっています。こういうことをいうと、むかしの軍人や天照大神を信じている人などは、私をにくむけれども、日蓮大聖人様がおっしゃっているのだから、これはしようがありません。日蓮大聖人様の御書をみてごらんなさい。こんなに厚いのです。この御書には絶対に間違いがないのです。この御書のなかでおっしゃっているのです。

 それなら、おまえそんなこといってもだいじょうぶかといいますが、それはだいじょうぶです。天照大神の札を千枚もってきたって私は敗れません。なぜかといえば、私は妙法蓮華経の信者だからです。そんなものは一つの題目で退却します。

 なぜか。もしそれが天照大神というなら、私には文句があります。千枚でも一万枚でも、天照大神は一人だから。そんな何人もいやしません。ここへ出てくればいいのです。証拠があるではないですか。「葦原(あしはら)千五百秋(ちいおあき)瑞穂(みずほ)の国はこれわが子孫の(きみ)たるべき地なり。(なんじ)皇孫いでまして治せ。さきくませ。宝祚の(さか)えまさんことまさに天壌(てんじょう)(きわま)りなけん」と、これしか天照大神はいっていないのです。

 天照大神は「この日本の国というものはニニギノミコ卜おまえ行って治めなさい。おまえの系統の栄えること天地とともにきわまりない」これだけの約束でしょう、国家を護るという約束でしょう。しかるに、今度の太平洋戦争において、負けたことは事実ではないですか。しかも大きなこといって、あのころの軍人は「出てこい、ニミッツ、マッカーサー」と歌までつくって、いざマッカーサーがきたらペチャンコになってしまったではないですか。

 日本の空をいま、日本人が自由に飛べますか。こんなに負けさせて、天照大神が役目を果たしたかといって聞きなさい。天照大神を連れてきなさい。日本では他の神々は、ことごとく天照大神の子分です。そうでしょう。天照大神よりえらいという神々がおりますか。天照大神がいちばんえらいのです。その次が八幡大菩薩、この二人がそろっていて負けさせるということがないではないですか。神さまもへったくれもありません。

 というのは、ほんとうは天照大神は悪くないのです。日蓮大聖人様御出現いらい七百年、南無妙法蓮華経を日本民族が唱えないために、神天上説といいまして、天照大神は日本の国にいらっしゃらないのです。

 だから罪は、天照大神にありません。ではあの天照大神と書かれた紙にはなにがはいっているか、日本をほろぼす命がはいっているのです。日本をほろぼす命だったならば、われわれの一軒一軒の家をほろぼすくらいは平気ではないですか。そんなものをおいたら、ちょうど水の中へ汚物を入れたものを飲んでいるようなものです。御本尊様を持つといえども功徳はないのです。