戸田城聖全集質問会編 68 大御本尊の前にはシキミがないが

 

 〔質問〕 御本尊様の安置してあるところには、かならずシキミが飾ってありますが、奉安殿の(現在は正本堂の)大御本尊様の前には、なぜシキミが飾ってないのでしょうか。

 

 仏法には、化儀と化法という二つの法がありまして、シキミをあげたり鐘をならしたりするほうを化儀といいまして、代々の法主様ごとに変わってさしつかえのないことです。化法というのは仏法の根本原理でして。これは絶対に変わらないし、変えられない。シキミのことや鐘を五つたたくとか、どうとかということは、化儀の内にはいるのです。だからお坊さんに聞けばわかります。シキミをあげないのは、お寺が貧乏だから、あげないのではありません。

 シキミというのは、日本にあるたった一つの香木なのです。この法華経や他の経文を読みますと、仏にはかならず紫檀とか黒檀とか申しまして、匂いがよい木で焚いたものをさしあげると書いてあります。ですから、シキミをさしあげて、その香りを供養するのです。

 次に、シキミは、常緑樹で、いつも緑の葉をつけていますが、これは生命の常住を示すものとして使うのです。ところが草花を使うと、すぐ花も葉も枯れて、命の短いことを意味するでしょう。無常ということを意味します。それは小乗経の教えですから、草花は用いないことになっています。

 なぜ大御本尊様に用いないかという質問ですが、広宣流布までは、奉安殿に(現在は正本堂に)お住まいになっていらっしゃる大御本尊にさしあげることはできません。こちらができないのです。いまは特別に、内拝がゆるされて御開扉を受けるのであります。

 あなた方が広宣流布をして、事実の上で本門戒壇が建立され、大御本尊が、そこへお出ましになった時には、シキミをじゅうぶんにあげることができるのです。

 大客殿というのがここに立つのです。そのときにはこんな安いのを建てるのはやめにしようではないですか。台湾の檜、カナダの杉、ガンジス河の石などを集めて建てましょう。

 ところが困ったことに、インドのガンジスが山奥へ行ったらどうだかわからないとは思いますが、きたなく、ドロドロになって石がなくてだめだという。とにかく世界の樹木を持ってきて、ここに大客殿を建てるという問題です。まあ一年や二年ではやらないから安心しなさい。

「また寄付でもしてくれって、あの野郎いうのではないか」などと、財布なぞ押える必要はありません。あなた方が金持ちになってから頼みます。一年や二年ではやりません。やれっこないのです。

 大客殿と申しますのは、天皇陛下や全世界の指導階級がお見えになったときに、お坐りになる部屋を大客殿というのです。ここは客殿なのです。天皇陛下がこないから、安い木材でもっているだけなのです。これだから、いまはこられては困るのです。だからこれで結構です。いずれにしても広宣流布の暁には、シキミをたっぷりあげましょう。いかがですか。