戸田城聖全集質問会編 6 万年救護と一閻浮提総与の御本尊

 

 質問 万年救護の御本尊と、一閻浮提総与の御本尊との違いについて

 

 万年救護の御本尊と申し上げますのは、日蓮大聖人様の宣言書であります。この宣言書には、二つあるのです。佐渡始顕(さどしけん)の御本尊も宜言書であります。これは三世十方の諸仏に向かって「日蓮はこの本尊をもって。衆生を救いますぞ」という宣言書が、佐渡始顕の本尊です。また、万年救護の御本尊は「おまえたちを、これによって救ってやるのだぞ」という宣言書であります。

 一閣浮提総与の御本尊というのは、その奥にもう一段高く、この御本尊をもって「おまえたちはみな拝めよ。この御本尊によれば、おまえたちのいっさいの悩みは解決するぞ」という御本尊です。

 万年救護の御本尊は、保田(ほだ)の妙本寺にあらせられます。保田の妙本寺を開基した(にち)(ごう)という人が、寂日坊にあった万年救護の御本尊を持ったまま、千葉の保田へいって、そこへ寺を造ったのが、妙本寺なのです。

 今度ようやく、妙本寺の富士師が目ざめて、六百何十年後の今日において、総本山へ帰伏(昭和三十二年四月)したのです。大石寺門流になったのです。そこに万年救護の御本尊はあります。「先祖がもっていったのだから、いずれ、かえすだろう」と私は思うけれども、まだわかりません。

 万年救護の御本尊は、衆生に対する宣言書なのです。いま、奉安殿に(現在は正本堂に)います大御本尊様が、ほんものなのです。これが大もとになってしまうのです。たとえていえば、金庫みたいなものです。金庫の前に書いた証書が、万年救護の御本尊です。中身が奉安殿の大御本尊様であらせられるわけです。