戸田城聖全集第二巻質問会編  あとがき

 

 戸田城聖先生は、折りにふれて、質問会を閧いてくださった。それは、総本山の客殿で、また一般講義(御書講義)、一級講義(方便品・寿量品講義)の終了後、さらには幹部会や青年部の会合の席上等等であった。

 質問の内容は、信仰の根本にかかわる問題から、経済苦や病気の問題、さらには家庭の問題や事業の経営問題等、まさに人生百般におよんだ。それに対する戸田先生のお答えは、まことに確信に満ちてよどみなく、たくみな譬喩と天衣無縫のユーモアをまじえた、じつに明快なものであり、質問者はもとより全参加者に、御本尊に対する絶対の確信と、人生に対する明確な指針を与えて、なおあまりあるものであった。

 

 そこには、戸田先生の、人生の重苦に真正面から取り組んで一歩も退かぬ烈々たる気迫があり、魔を打ち破る、激しい信心の一念がほとばしるものであった。そこは人間社会の縮図であると同時に、人間蘇生のオアシスでもあった。

 

 とくに、長年にわたって続けられた登山会における質問会は、御開扉を終えた全国の登山者にとって、最大の楽しみでもあった。涙と笑いのなかに、次々と展開される戸田先生の慈愛あふれる指導をうけて、どれほど勇気づけられ、信心による再起を胸中深く刻んだかしれない。

 戸田城聖全集第二巻には、この質問会を収録した。内容は昭和三十八年八月二日発刊の「質問会集」をもとにしたが、昭和二十六年の会長就任以来、逝去までの七年間の、折りおりの質問会を集大成したものである。

 編集にさいして、その場のニュアンスを再現するため、ことばづかいや表現は、極力、当時のままとした。また、戸田先生のお答えは、その場の、その特定の一人に与えられたものでもあるため、ときによって、同じような二つの質問に、まったく別角度からの答えがある場合もある。さらに、その場の雰囲気を補って読んでいただいたほうがよく理解できる場合もあろうかと思われる。その点、読者のご賢察をお願いしたい。

 なお、巻末に二編の座談会を収録した。いずれも、昭和三十一年に「大白蓮華」に掲載されたものであり。二十五年余の時の経過もあり、内容的に若干、現代にそぐわない点もあると思われるが、その点もあわせて読者のご了解を願うしだいである。

 

 ともあれ、本書に一貫して流れるものは、戸田先生の、広宣流布への赫々たる大情熱であり、学会精神である。

 

 本書を手にされる読者諸賢が、その奔流をくみとっていただき、己が資とされんことを心から願うものである。

 

 昭和五十七年一月二日

              戸田城聖全集出版委員会 (秋谷栄之助 創価学会会長の時)