驚愕の350円。
しかも昨日は陸茶坊さんの2300円の作品を紹介してからの齊さんの350円。
ん~、ラーメンって面白いよね。
で、以前にこのお店のトッピングなし…いわゆる「かけ」の状態のラーメンで醤油を頂いていますが、これが抜群に美味しかったんです。
使われている魚介系素材の味わい(アジ、カツオ、サバ、煮干し?)といったものの表情がしっかり感じられる素晴らしいスープでありました(本当は私の舌で何が入っているかなんてわかるはずがないので、ここはあくまで予想の話として理解して欲しいです)。
特に魚の癖も前に出しながら、そこにほっこりと優しさを感じさせる演出は、じわっとした旨味と感動を覚えさせてくれるものでした。
で、その感動を胸に、いざ再訪。
海練さんが移転した今、ここに訪問する理由はここのラーメンが食べたいという理由以外に何ら存在しません。
すっごい集中力での訪問ですから何を頼もうか、うーーーーーんと悩む。
本音を言えば、全部食べたい。
で、今回は塩を頂いてみました。
今回もかけです。
やはりトッピングなしだと、スープの美味しさが胸にダイレクトに響きます。
一方でスープの欠点も見えすぎます。
「かけ」で味わって美味しいと言えるお店ってそうそうないんです(県下No.1の評価のお店でさえ「かけ」では欠点見えるくらい難しいんです)。
でもこのお店で頂いた醤油味の「かけ」は抜群でした。
故に今回も「かけ」をオーダーするのです。
そしてワクワク感たっぷりでスープを頂きます。
やばい、予想以上に美味い!!
思ってのと違うことは違うんだけど、これは醤油の美味しさとはまた別の美味しさ!!
普通に考えたらスープは同じでタレが違うんだと思いますが、スープが含む魚介の表情が同じにして全く違うという感じ。
醤油バージョンが、魚介それぞれの個性を感じさせ、素朴な風合いを感じさせる郷土性豊かな味わいのラーメンであるのに対し、塩バージョンはもっと魚介の味わいが一体化してボディーの強い、インパクトある一杯になっています。
前回の醤油バージョンでは細麺だったこともあり、いくらか昔ながらの中華そば的郷愁性を楽しませてくれたものでしたが、今回太麺とともに味わった塩バージョンは一転して都会的というか、進化する今時のラーメン店が魚介をコンセプトに送り出した本気の限定メニューという印象。
口当たりから、魚介の一体化した味わいがドンと圧力をかけ、旨味は十二分。
醤油バージョンに比べると鯵(←多分、入っていると思う)の個性が独立せず、その分だけ鯵の癖が浮き上がらないため、より万人受けの味わいに思えます。
もちろん一体化したといっても、そこに混沌とした印象はなく、丁寧な素材の扱いが感じられます。
後味では塩ダレの個性がぐっと浮き上がり、この塩気が含む濃厚なコクが秀!!
昆布に・・・、貝柱かな?を思わす厚みたっぷりの旨味に魚介の濃厚な味わいが展開し、ここからのフィニッシュが最高の瞬間。
先ほどまで一体化していた魚介の味わいが、塩気の広がりとともに一期に紐解かれ、ほんの一瞬の間に、次々と異なる素材にスポットを当てながら展開します。
万華鏡をぐるっと一回転させたかのように、細やかな味わいが次々と現れ、舌が高速でフォーカスの対象を移動させていきます。
繊細にしてドラマティック!!!
味が強いのではなく旨味が強いスープで力強さを感じさせつつ、後味では知性を存分に感じさせる内容に感激です。
そしてこのスープ、実は動物系の素材の仕事が侮りがたいのですが、その前にトッピングのお話。
トッピングなしのす・ラーメンですが、実は魚粉と鰹節が少量加えられています。
これが美味さの秘密!!
トッピングにより、口当たりにカツオの優しくも甘コクな香りが感じられ、フィニッシュで魚粉が大人びた枯れ感を演出します。
これにより終始魚介系の個性に、食べる側の気持ちが置かれてしまうのです。
しかし魚介の良さをより高めているのが動物系の素材であるようにも感じられます。
豚と鶏だけど、鶏よりのスープ・・・に自分には感じられますが、その旨味が乾物系の魚介の味わいに艶やかな潤いを加え、旨味を枯れた風合いにせず筋肉質なものに仕立てます。
魚介系の細やかな風味と風味の間に動物系の味わいが重なることで、全体がまとまり、風味の隙が消え、同時に味に安定感が出ているように思えました。
このほんのわずかなトッピングが、食べる側の気持ちを魚介中心に誘うため、魚介系ラーメン然としながら魚介系ラーメンに不足しがちな重厚さを覚えさせ、リッチな印象を高めているように思えます。
これは美味いよね。
そして食べ終えて思うのですが、作られる方の魚介スープへの集中力が半端ないように感じるのですが、どうなんでしょ?
誤解されると嫌なのですが、拘りの家庭料理を頂いている様なきびきびした味わいを覚えるのです。
つまりチェーン店にありがちな重さと時間と温度を数字で管理して、味も香りも気にせずにただただ毎日同じルール作っているスープという悪い意味のプロフェッショナルさが感じられず、むしろ趣味で拘りまくった家庭料理のように寸胴と向かい合ってスープの色や香りを常に見守りながら整えていったように思わされるスープなのです。
もちろん私の思いこみだけどね。
でも、そのくらい一つ一つの素材の花の開き方が鮮やかに感じられたんです。
ラヲタ的には名店で修業しました系の雰囲気を露骨に出すお店にばかり惹かれてしまい、こちらのお店の様な県道沿いの普通のラーメン屋さんぽい地域密着風の雰囲気はスルーしがちなのですが、このスープの丁寧な仕上がりはむしろラヲタが探していた味わいをどっぷり感じさせてくれるもの。
食べた時に、お店の誠実さが嬉しく感じられるような一杯でありました。
ちなみに麺は細麺と太麺から選べます。
この二つは真逆の個性。
細麺はウエーブがかっていて、軽くぺたっとする舌触りにもちっとした柔らかな食感を覚えさせます。レトロな風合いもたっぷり含んでいます。
一方で太麺は、ストレートでつけ麺にも使える様な固い食感をのこすもの。細麺ほどには穀物感が浮き上がってはきませんが、その現代的な風合いがむしろラヲタ受けしそうな印象も。ぐんとした噛みごたえの、締まりのある肉感が印象的です。
いずれにしてもきっちり印象を残してくる個性的な麺です。
基本は細麺なのかな~とも思いますが、個人的にはこの中間的な性格の麺でも食べたいです(笑)
それにしても素晴らしい一杯です!!
近所に会ったらしっとり通ってしまうお店でしょうね。
心にざらっと染みる、美味しい一杯でした。
※ラヲタ ・・・こんな無名のラーメンブログまでチェックしてしまう貴方の様なwラーメンが好きで好きで堪らない貪欲なラーメンファンのこと。
ウマイ度 ★★★★★
スゴイ度 ★★★★★
前回醤油バージョンを頂いた時にたまたまこの日がめちゃくちゃ美味かっただけなのかもと思ったりもしたけど、今回もしっかり美味かったのでこれはもう間違いないね度 ★★★★★