□わさらび 桜鯛そば
feat 2012/04/xx 20:38:04
スープは口当たりからしっかりと魚の味わいが感じられます。
ほろ苦さを素直に旨味として感じさせ、魚臭くはあるのですが、逆に魚好きにはいかにも恋しい味わいに。
マダイっぽい乾いた張りのある白身の旨味めいたものではなく、もっと厚みのある魚を思わす様ないくらかのこってり感のある魚介の味わいという印象。
それにしても魚臭さに雑さや下品さを感じさずに、わさらびさんらしいしっとりした和の風情を感じさせてくれるところが嬉しいですね。
流石はわさらびさんというところでしょうか?
動物系の油脂の効いた旨味によることなく、また煮干し系のガッツの効いた旨味を前にすることなく、それでいて風味の厚さを十分に感じさせてくれますね。
食べ始めは、いくらかスープの塩気にアタックを覚えつつ、しかし以外にも食べ終える頃、さらには最後の一口においては味わいが丸くまとまり、その温かみある質感がすーっと体に溶けて行きます。
最後の最後に、なんて美味いんだ~って言わせる秀作ですね。
さらには麺はわさらびさんならではの、上品さがすっと通ったあの細麺。
魚の質感がやや個性的なスープであればあるほど、この麺がもつ旨味十分なのに透明感を覚える質感が実力を発揮しますね。
この麺を持っているってこの手の季節のアレンジを楽しませるようなスープを作る人からしたら武器ですよ武器!!
しかもそのスープも、麺も同じ人が作っているわけですから、これは堪りません。
高いレベルで世界観が調和しちゃいます。
トッピングで面白いのは、桜漬けも。
不思議とトッピングされた魚の白身にこの桜の味が染み込んでいて、季節の懐石料理を頂いている気分にも誘われます。
またチャーシューの豚の味わいと魚の味わいが、なぜかぶつからず、いやむしろ調和することでスープにコクを作る印象も。
あれ~、このチャーシュー何なのって驚く。
さらには香草が、舌にときおりエッジの効いた風味を奏で、その印象がこの作品にキレを与えています。
それにしても、しっかり魚の味わいが主役になった作品ですね、これ。
鯵斗さんの作品にも通じるかと勘違いするくらいに、魚の個性が前面に出されていましたよ。
それなのに、どう考えても淡麗系の作品然としているから凄いです。
魚介系のラーメンに多い、カリカリの乾物系の魚の質感ではなく、肉の味わいをもっと温かく出してくるこの作品、いかにも4月らしい内容ですし、遅咲きの高原のお花見の後にでも是非是非お試しくださいませ。
もちろん、このブログの読者さんたちは、花より団子でしょうけどね。