めんりすと か・き・ら・あ(カリー風味)
feat 2012/03/xx 20:37:08
この作品の前身にあたる作品を初めて頂いたのは1年前の3月末。
な・ん・ば・んという、めんりすとさんのかつての定番限定メニューだったカレー系のラーメンをブラッシュアップさせて、牡蠣の旨味を絡めたその作品は、牡蠣とカレーという組み合わせにただならぬ可能性を感じさせるものでありました。
そして今回、1年ぶりにあのカレー&牡蠣が復活!!
それも裏メニューではなく公式のツイッター読者限定メニューとして復活です!!
そして当然ながら、その内容はさらにさらに進化!!
そんなめんりすとさんの本気、しっかり味わってまいりましたよ!!
スープは口当たりからカレーではなくカリーらしいスパイスが牽引する辛味が感じられます。
多くのカレーラーメンがルーっぽさの強いネバッ、ドロッとしたカレーの味わいであるのですが、このカリーの感じはよりストイック。
しかしそれでいながら、本格に拘り気難しくなることがないあたりは流石は作り手の巧さといったところでしょうか?
カリーの味わいを背負う白湯スープの濃厚さが、この作品にいては重要なパーツとなっています。
ルーっぽい小麦粉と油のトロミではなく、ベースの白湯スープの動物の旨味の濃さが故に重厚さが、味にコクを作り、カリーのスパイシーさだけを尖らせることがないのです。
トロトロ系のカレーではないのに、そうであることを錯覚させるのは、舌にじわっと重みを預けて溶け込んでくる旨味密度の緻密さがキメの細かさをも感じさせる白湯スープのポテンシャルがあればこそ。
豚骨にやや傾倒した鶏・豚骨の白湯スープの美味しさが、カリーというインパクトの強い個性を背負ってなお、その重心を崩すことなく、安定した魅力を終始舌に感じさせます。
インドカレーなどのスパイスの集合体であるさらさらのカレーが好みの方にも、日本風の似崩れた具材やルーのトロミでコクを作るカレーが好みの方にも、それぞれに魅力を提供できる作風に仕上げられているのは、良い意味での予想外。
ツイッター読者限定というコアな食道楽向けでありながら、それをあざ笑うかのように懐が広く、それでいてどの角度から味わっても個人の趣向をずばっと付いてくるような美味しさをもっているのです。
多くの味噌ラーメンが醤油ラーメンや塩ラーメンに比べてボディーを持っている代わりに、風味の展開が弱く、安定的であるのですが、カレー系のラーメンもしかり。カレーの味わいが支配的であるがために、味わいそのものは細かな辛さの高揚こそあれど終始カレーの味わいとしっかりとしたコクを残しがちです。
そのような意味では、この作品もスパイシーさこそ複雑に展開するとはいえ、その土台となる味わいはし・ろ・ど・り(白湯の塩ラーメン)やく・ろ・ど・り(白湯の醤油ラーメン)に比べて安定定期にもなるかと思いますが・・・、いやいやそれで終わらないのがめんりすとクオリティー!!
後味において牡蠣のジュルッと舌に纏わるような旨味が押し出されます。それもスパイスの風味が拡散していく中、中央にどすっと現れるこの旨味が、最高も最高!!
牡蠣とカレーの相性の素晴らしさを教えられた2011年3月のめんりすとさんから1年、その間には結構美味しいラーメンを食べ歩いてきたので、ちょっとやそっとでは喜びはしない私も、やはりこの組み合わせは痛快すぎ!!
さらには麺の個性をここから感じさせていくのがまためんりすとさんならでは!!
麺がスープの味にどのように影響を与えるかについて、めんりすとさんほど考えに考えて作品作りをされている方もそうそうはいないと思うのですが、今回もしっかり満喫させて頂きました。
今回用意されたのは、いつもと違い2種類の麺。
敢えて選択できるようにしてきたのも、どちらの個性も楽しむに値すると分かってのこと。
お客さんのお好みでどうぞ的な他人任せで遊ばせるものとは違います。
私の選択は、今回は平打麺。
個人的にはカリーには全粒粉がとも思いましたが、生玉子の旨味をもった平打麺は牡蠣に調和するはず。
おそらく全粒粉入りの細麺では、牡蠣の香ばしくローストされた部分の旨味がカリッと前に現れ、カリーのスパイスのエッジに太さと張りを作り、説得力ある味わいに仕立てると思います。
これは美味そう・・・。
細麺はもちろん、以前に登場したこともおある全粒粉入りの太麺でも、食べてみたいです。
そして私のセレクト平打麺では、後味からフィニッシュでの展開に彩りが加わっていました。
後味で浮かび上がる牡蠣の旨味に対して、その牡蠣の風味の角を一瞬ん感じさせつつ、少し遅れて平打麺のもつ玉子の風合いがここにクリーミーさを添えて滑らかさを残します。
貝特有の旨味に含まれる磯系の個性に、香りの近い生卵の滑らかな個性を重ねることで、旨味の主題をよりはっきりとさせつつ、いわゆる雑味とよばれるものを見せません。
最後の最後までスープを飲み飽きることはなく、むしろ汁完目前にしてなおスープの美しさは健在どころか、麺の持つ玉子の風合いがすっと香り出つフィニッシュでしっかり酔わせられます。
貝系の風味が持つキメの粗さも、麺の個性が絡むことで感じさせることはなく、従来のカレー系ラーメンにはない上品さ屋上等さを残す美しいフィニッシュには、まさに感動を覚えさせらるところでありました。
あなたなら細麺と平打麺のどちらを選択しますか?
個人的には、売れ筋の細麺、芸術的な平打麺という印象です。
どちらも魅力的すぎて、困ってしまいますよね。
最後に、1年前に頂いた初代のカリー&牡蠣のラーメンとの違いを思い返してみます。
しかも上から目線で(笑)。
カリーは、カレーからカリーに進化したという印象です。
よりスパイシーに変化しました。
カレーそのもののコクをスパイシーな方向に変化させ、しかしその分ベースの白湯の濃厚さで支えてバランスをとると言う印象。
スープのクリアさ、キレも今回のものの方がレベルアップしていました。
風味の品数は前回よりもシンプルにはなっていますが、その分だけ、牡蠣、カリー、白湯、麺といった個性がそれぞれに明快に伝わり、シンプルさが故の個々の魅力の響きが味わえる作品であるとも思いました。
例えるなら前回がビッグバンドのアンサンブルで、今回は4ピースバンドのアンサンブルと言った印象。
玄の音色だけでなく、個々の楽器の箱鳴りまで感じられるような演奏の高さだけでなく楽器の上等さをも感じさせるような作品に思えました。
それにしても貝系のラーメンを使わせたら、毎回神がかっていますね!!
ちなみに私が初めて超ロングなラーメンレビューを書いたのは、初代か・き・ら・あ(2010年末ver.)でしたね
何だか、牡蠣のラーメンが私のおふくろの味になりつつあるような気が・・・。