心の世界は、すべてつながっています。
地球が丸くてひとつづきで、みんなで海や空気を共有しているのと同じ。

はるか古は、子供と大人という心の境界線がなく、おしなべて人間は純粋な存在でした。
だから、精霊たちは、彼らの前に姿を現し、力を示し、この大地に共に生きていられました。

私たちが、複雑な精神性を持つように変わっていったのは、「知」の力の影響です。

知ることは、区別すること。
その区別が繊細になればなるほど、小さな差異に与えられた言葉が、意味を持ち始める。
大動脈が、毛細血管につながっていって、血が全身に回っているように。
木が大きな幹を支えるために天に枝を伸ばし、地に根を伸ばすとき、先のほうに行けば行くほど、細く分かれていくように。

子供と大人の心に、大きな区別が生まれたのはいつか。
調べてみると子供という概念は、結構あたらしいものでもあります。


精霊たちから見て、子供たちは、常に良き友でした。
人は幼いほど、知をもたない。
心に嘘を、もちにくい。
全く持たないわけでないけれど、少なくとも醜悪ではない。

地球全体の自然の調和がとれ、大地が自然界のエネルギーで満ちていたころは、人間の心や調和は彼らの保護下にありました。
だから、子供たちの純粋さ、やさしさ、イメージ能力の偉大さは、精霊たちによって守られていました。

そして、子供と、精霊たちが一緒に過ごせる、魔法の世界がありました。
自由で、愛と勇気を試す冒険ができる、魔法の世界。
そこでは、どんな子も主人公です。
みんながみんな、大切な仲間たちです。
精霊たちは、その子の生まれ持つ個性への尊厳や、思いやりからの行為の大切さを、夢と現実のはざまにある、純粋さのみで構成された世界で、ともに育み守り続けてきました。



いつしか大人たちの大半が、かつて自分が子供であったことを忘れ去り、魔法の世界を鼻で笑うようになってきたころから、子供たちの魔法の力は、水の与えられない花がしおれるように、急速に、消えて行ってしまいました。

それでもまだ、精霊たちは、子供を見ると、助けたくて、かまいたくて、愛しくて、たまらない気持ちになるそうです。
子供であるというだけで、無条件に、自然界の存在は、めいっぱいの愛を注ごうとします。

精霊たちは、その子特有のイマジネーションを、大切に、大切に、その心が守られるように魔法をかけます。

どんな子供も魔法の子供。
分け隔てなく、魔法の子供たち。

精霊たちには、ひとりひとりの子供のもつ特性が、その子の選んできた人生に、必要不可欠なものであると知っています。
それがたとえ、どんなものであったとしてもです。
自然界にとって、精霊たちにとって、愛しくない子供など、一人もいません。

そして、どんなにひどく、子供の在り方から離れてしまった大人たちだって、必ず子供時代があったことも知っています。
精霊であるという特性の影響で、もう、近づいたり、守ったりが、できなくなってしまった大人たちに対してだって、愛はあるのです。



どうか、自然界のあらゆる存在が、あなたに愛を向けて、いつもより世界が美しく見えたり、風が涼やかに感じられたとき、その、ちょっとした不思議に、心を傾けてみてください。
小さな子供のような心になって、不思議を楽しんでみてください。
不思議を見せてくれた彼らの喜ぶ心が、ほんのりと伝わってくるかもしれません。

どんなに心が離れてしまっていても、あなたを、広い宇宙の、この地球の、大切な仲間だと思っている精霊たちは、愛することをけしてやめることはないから。

精霊が、愛すれば愛を返してくれるように。
あなたが精霊に愛を向けたとき、小さな奇跡がやってきます。

子供の頃にしか感じられなかった、この世界の不思議は、心を傾ければいつだって、そばにやってきてくれます。

今日も、ちょっとした奇跡に、心が癒されますように。