今日は、ユグドラシルというのか、永遠の巨木という象徴として存在する神様のお話をします。

人間にとっての知と、悠久を生きる精霊たちにとっての知は、まったく意味合いの違う位置づけで存在しています。

人間にとっての知識は、生きる知恵というだけでなく、ステータスだったり、武器になったり、物を考える基礎だったり。
ある程度の努力がないと手に入らないものでもあり、生きる上で、大事なものです。

精霊たちには、それらは、ただ過ぎ去るものでしかありません。




精霊たちの世界というより、神域になると思うのですが、すべての知が集められている領域があります。
その領域と常に連動できる、精霊世界と隣り合う神話世界でも特別な存在でもあるのが、最も古くから存在している、どんな木よりも大きな永遠の木、ユグドラシル。
叡智そのものの存在です。

ですが、彼は訪れる存在に対し、いつもこう問うのです。

「あなたのことを、教えて欲しい」

古からの知の集積を利用でき、理解もでき、願うならばどんなことを知るのも可能な存在である彼の興味は、いつも、目の前にくる存在の中にある、輝きに向けられます。
ユグドラシルに比べたら短い命。
若くて小さくて、取るに足らないかもしれないような目の前の誰かの中にある、世界こそが、彼の興味であり、守り、育て、活かしたい対象なのです。

彼は言います。

「一つの存在の中には、ひとつの宇宙がある。それは、私が知り得る、いかなる知識より尊い」

ユグドラシルは、知るということより、活かすということに、重きを置いています。
そして、活かしたいと願う本人にしか、活かせないことを、彼はよく知っているのです。

彼はその輝きこそ、ほんとうの叡智だと思っています。



ユグドラシルは、やさしく、穏やかで、謙虚で、ちょっと頑固で、ユーモアもあります。

どんな樹木も、どこかしら彼に似た性質を持っています。


木は、そばに憩う者を守り、安らげ、癒し、穏やかにします。

精霊界の「調和」を守る最も力の強い存在は、樹木の精霊たちです。

調和とは何か。

もしよかったら、お気に入りの木がいたら問うてみてください。

いくつもの答えが、同時に、あちこちから聞こえるかもしれません。答えは一つではないし、一つにまとめたり、決める必要もない。

天に枝を地に根を伸ばし、光からも闇からも恩恵を受けて長くを生きる彼らは、物事を天秤にかけたり、裁くこと、支配することを、厭います。

そして、急ぐことが苦手です。非常にマイペースです。


あるがままで、いいんだ。

私たちを包み込んでくれる木々の気配はいつだって、この考えに根差して生きています。


もし、自分自身の自然体がわからなくなるようなことがあったら、木に憩うと、いいかもしれません。

木は敏感にその人の心身の状態を理解し、必要な癒しを与える、偉大なヒーラーなのです。



記事をお読みくださり、ありがとうございました。

木のやさしさが、地球のやさしさ。
この世界を守る樹木たちの懐の深い愛の気配が、今日もあなたを癒しますように。